うるるん
今週末、ケリをつけると決めていたことがある。
もしかすると、親よりも大切かもと思える人に
「ありがとう、さようなら」と 伝えることだ。
感情が高ぶって、上手く伝わらない気がして、
週末にまずメールで伝え
週明けに電話で一言、「ありがとう、さようなら」と言おうと決めていた。
最後に顔を見たのは、2年くらい前だと思う。
それさえよく覚えていない。
電話で話したことも、この2年間で、3回くらいなのかもしれない。
それも覚えていない。
週末 何と書こうと、過去を思い返せば
すぐにうるうると目が潤む。
寂しさでもなく、悔恨でもなく・・・
あえて言葉にするなら、切なさに近い感情。
その切なさに感謝や安心感
そんなものまでが入り混じり、なぜか私の涙線をダイレクトに刺激する。
泣きたくもないのに、涙がいつまでも止まらない。
会えなくても、話せなくてもいい。
この世に存在している、幸せでなくとも普通に暮らせている。
ただ、それだけを感じられたら十分なのに。
その術を断とうとしている。
唯一 私の心を動かすことが出来た人。好きになれた人。
今も心にどっしりといて、その周りは優しい思い出ばかりが満ちている。
その人が「生まれてきて良かった」と感じさせたから、今もここに私がいる。
今でも誰より大切な人。
私を大きな闇から救い出してくれた。
考えだすと涙は止まらず、
思い出ばかりが限りなく蘇る。
けんかばっかりの思い出。
飲みこまれそうな恐怖から 無理やりに目をそらさせるような激しいけんか。そればっかり。
だから、頑張れた。
「こんな元気な人間は、絶対死なないよ!」 けんかの最後に呆れるように言った。
「早くに死ぬのは、美人だけ!」とも笑ってた。
乱暴な口きいてるくせに、心が限りなく美しい人で、自分を律して生きている人だった。
誰もが思い浮かべるような楽しい思い出は、きっとほんの少し。
けんかして、けんかして、けんかした。
そのくせ怒って帰る私が、家に着くまでそっと見守ってくれてる人。
そして、それを絶対言わない人。
一度気づいて聞くと「自分のため」と言っていた。
心配で気になるから、自分のためにしてるだけ。
心は常に抱きしめられてる安心感。そんな安心感。けんかしてても安心感。
もう誰も心に入れない。
それが自分でわかる。
入って欲しいとも思えない。
「心から人を好きになる」
もしかすると、それは人生でたった一回だけなのかなと思ったりする。
おそらく、「生まれてきて本当に良かった」
私はそう思いながら満足して命を終えられるだろう。
何とメールしよう・・・
これほどだからもういい なのか これほどだからやっぱり・・なのか
「きちんと終わること」を、静かに待ち続けている人が隣にいる。
あの人も、私が笑顔で「さようなら」と言える日を優しく待っている。