マジっすか?
「やはり癌ですね。」医師はとても普通に言った。
「問題ないですね。」って言うのと同じくらいとても普通に・・・。
確定するまでいろんな検査を続けてようやく出た答え。なぜかホッとした。
どうなんだろうと、常に揺れる気持ちに付き合うことに限界を感じていたせいだろうか?
告知後、エスカレーターもエレベーターも使う気にならず、階段を下りた。
何気なく踊り場の窓から見上げた空は、春の午後の温かさを素直に感じさせる光にあふれる、
「青空」と聞けば誰もが頭に浮かべてしまう、そんな空。
「私は癌なのだ。」
そう聞いた直後でも、青空はおそらく聞く前と何ら変わることなく美しく、
その光の中で、自嘲気味ではあったが、心の中でクスりと笑う私がいた。
敵がはっきりすれば、戦うのみだ。
死ぬかもとは思ったが、やすやす死ぬ気なんて全くなかった。
奈落に引きずり込まれそうな、漠然とした巨大な恐怖。一度だけ、人にしがみつき大声で泣いた。
私は私のために生きていない!生きてきていない!そのことが何より悲しくて、辛かった。
私は何のために生まれてきたのだろう。自分が可哀そうで可哀そうでたまらなかった。