この作品は、8つのストーリーからなる短編集です。
帯には
「この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の身体を愛おしく思う。」
と、書いてありました。
わたしには、ちょっと、重く感じましたが・・・
もしかしたら、そこまで、自分の身体と向き合ったことがない・・・
西加奈子氏独特の世界観が感じられ、とても不思議なストーリーでした
自身の乳がん発覚し、カナダで治療を行った西加奈子氏。
2019年~22年に発表された7編と書き下ろし1編を含み、
全8編を収録されています。
(以下は、ネットよりコピペ)
《わたしに会いたい》
ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」がわたしに会いに来る。
《あなたの中から》
女であることにこだわる「あなた」に、「わたし」が語りかける。
「あなた」つまり、「わたし」だけれど、別な「あなた」を感じる。
美しさを求め、年老いて行くことに恐怖を感じる「あなた」
《VIO》
年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意する。
ガールズバーでアルバイトをする「わたし」は
Vゾーンだけでなく、I・O のゾーンまで脱毛した「わたし」
レーザーで、焼かれる陰毛を感じてからわたしは変わった。
《あらわ》
グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんのためGカップの乳房を全摘出する。
乳房がなくなったことで、受容がないとされる露。
ラスト、変わった露が着けたピアス。怖かった。
《掌》
深夜のビル清掃のアルバイトをするアズサが手に入れた不思議な能力とは❓️
曇りガラスの向こうで、行われているセックスに女性の幸せを祈るアズサ。そして、ケシ―の性とは。
《Crazy In Love》
乳がんの摘出手術を受けることになった一戸ふみえと看護師との束の間のやり取り。
この作品は、ご自身の事なのでしょうか❓️
《ママと戦う》
フェミニズムに目覚めたママと一人娘のモモは、戦うことを誓う。
《チェンジ》「(書き下ろし)
デリヘルで働く私は、客から「チェンジ。」を告げられる。
「チェンジ」は珍しいことではないけれど、
自分が言われると、結構傷つく。
あなたのBookshelfに
是非、この1冊をどうぞ
わたしは、本の紹介であまり感想を書かない様にしているつもりです。
でも・・・
前回のブログの「先生、感想文が、書けません」じゃないけど
なんとも言い様のない感情が残っています。
読了感、最高❗なんて言うものではありません。
「自分を愛おしくなる」と、言うこともなく、
10代、20代、30代、40代で踠いているこの「わたし」達。
今、60代となったリアルな「私」は、嘗ての「私」を思い出す。
20代終わり、
小説の中で言うところの「女の賞味期限」ギリギリに滑り込みして結婚。
3人の子供に恵まれ、何不自由なく生活をしてきた。
健康にも恵まれた。
むしろ、この小説は、「私」に
敵意を剥き出してるような
腹立たしさと、虚しさと、悲しさを残すものとなった様な気がします。
ベッドに横になり、スマホをいじり
畳より一回り大きな窓から見える景色
窓のしたの方に、隣の家の屋根
そして、公園の青々とした樹の天辺。
窓枠に括られた空には、どんどん形を変える雲。
上空の風の強さを感じている。
そんな見慣れた景色さえも、虚しく思えてしまう作品でした。
でも、作品は変わらない。変わるのは読む人の気持ち。
また、別な日に読んだら、「自分が愛おしくなれる」のかもしれない。
大雨の地域の方々、どうぞ、気を付けてお過ごしください。
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