俺の妄想の中に妄想警察が踏み込んできた。

いつも近所の電柱の影で張り込んでいた奴だ。

妻の留守中に隣の奥さんを連れ込み、俺はベッドの上で裸で縛られ、ベッドに登った奥さんは高いところから俺に目薬を差しているところで、命中しない目薬で顔はびしょぬれになり、目薬が落ちてくる恐怖で表情筋が吊り上がり、半ば笑っているような表情になって興奮は絶頂に近づいていた。まさにこれから奥さんを抱くというときに、妄想警察は踏み込んできたのだ。

「こんなエッチな妄想はみたことがない」妄想警察は勝利に震えてそう言った。

「なんで俺をマークしていたのだ?」

「いろんなところで聞き込みして、町内で一番エッチなのはお前さんらしいと踏んだのよ」

黒の網目の下着姿だった奥さんは、服とエプロンをつけて、あたしを巻き込まないでちょうだい、と言って俺の妄想から退場した。

そんな、せめて彼女を抱いてから捕まりたかった。

「俺は未だ何もしてない!」

「何をおっしゃいますやら。もはや許されざるエッチさですよ。すでに縛ってあるからこのまま連行します」