おばさんの旦那はうちの母の弟だ。

うちの母も相当口が悪いが、弟であるおじさんも口が悪い。

奥さんにも子供たちにも一切配慮がない。

収入がないのにパチンコでぼろ負けする。

家にお金を入れないのに自分だけは煙草を吸う。

まあ、そんなこんなで子供たちから嫌われた。おばさんも何度も別れを切り出したらしい。

僕はこのおじさん好きなんだけどね。

 

小学校の頃、おばさんの家にバスに乗って月に一度は遊びに行った。

4人の子どもたちと遊ぶのが楽しかった。従妹弟たちも、僕が行くととても喜んでくれて、僕を見つけると遠くからでも全力走で駆け寄って、お兄ちゃんっ!って叫んでくれた。

中学や高校になって、小遣いで何か買って行くと大歓声があがった。

 

もちろん、貧しかった。

ただ一度、おばさんに幸運が訪れた。

マルタイの棒ラーメン1か月分が当たったのだ。

我が家でも大ニュースとなったこの幸運について後日おばさんに聞いてみると、あんなの3日でなくなったわよ、と意外な答えが返ってきた。

まず、マルタイラーメンは1袋に2食入っているので、届いた箱の中身は15袋と意外と軽い。

まあそれはおいといて、6人家族で朝昼晩マルタイラーメンを食べると、6x3=1日18食も減ってしまう。確かに30食なんてあっという間だ。小さい子は1食分も食べないし、おばさんも遠慮するしで、3日もったという。

とにかくマルタイラーメンが当たったら、マルタイラーメンばかり食べてしまう程、みんな余裕がない。

でも、おばさんの優しさがみんなを幸せにする。大人になった子供たちも、それぞれに、それぞれに。とにかくこの世界には、おばさんがいるのだ。