トイレのサニタリー用品に棲息する口がバッテンのウサギが今夜も俺に話しかける。
なあ。
なあ。
なあ。
なあ。
なあ。
なんだよ、いつもいつも。
もっと俺に興味もってくれよ。
えっ? おまえのこと? つうか、いつからそこにいるんだよ?
なあ、俺のこと、ちゃんと知ってる?
トイレのサニタリー用品に棲息する口がバッテンのウサギが長い話をし出した。
俺は長い話が嫌いだ。妻が長い話をした時にも「時間を返して」と言って怒られたことがある。
そんなこともお構いなしに、ウサギは語った。しかし長いので要約すると、以下、たったこれだけの内容だった。
俺はミッ〇ィーちゃんと呼ばれているが、昔は「うさこちゃん」とか「ブルーナたん」とか「ナインチェちゃん」とも呼ばれたりしたが、大体において大人の事情で呼ばれ方が変わってきたんだ。
お前にはお前の、子どもの事情があると言うことか。つうか、お前、子供なの? そして、女の子だったの? しかも外人? なんで俺には、おっさん言葉なの?
ほうら、俺に興味が出て来たな。俺は、ウサギで、女の子で、外人なのに、それ以前にサニタリー用品に描かれた二次元アニメキャラなのに、お前が勝手におっさんにしてるんだよ。そもそも俺と会話できるのはお前の妄想力によるものだ。
えっ? この会話、俺の妄想なの?
気づいたか。お前は、雄山師匠から受け継いだ妄想の力で二次元世界と会話してるのさ。
なんですと!?
たわけがっ! 雄山師匠が現れ、一撃の力で俺は倒された。