『日本国語大辞典 第二版』(小学館)を引くと、

「殿」は元来地名などに付いて、

その地にある邸宅の

尊称として用いられていましたが、

転じてそこに住む人のことを

表すようになりました。


やがて、手紙文などで

人名や官職に付ける敬称として

使われるようになりましたが、

当初は関白などかなり身分の高い人に対して

用いられていたようです。


平安時代半ばの『源氏物語』にも

「右大臣殿のきたのかたもわたり給へり」

などの用例が見えます。



その後、高貴な人に対してだけではなく、

次第に一般的な敬称として

用いられるようになったようです。




ですから、様も殿も敬称ですし、

「個人名の場合は様、役職の後は殿」

という使い分けもありません。



役所から個人にあてた手紙の宛名は

今は「○○様」となっていますが、

以前は「○○殿」と個人名に殿をつけていました。




ビジネスの場面で、

「殿を使わない方が好ましい」

とされた理由は、

この役所での使い方から来ています。



「殿」の語源や、

「目上に使うか、目下に使うか」

といった言葉そのものの意味とは無関係に、

「役所から個人にあてた手紙には

『殿』が使われている。

何か、昔の領主が領民にあてて

出した触れ書きのように、

見下した雰囲気が感じられる。

だから、我々は殿を使うのはやめよう。」

ということから、

「ビジネスの場面では様を使う」

というビジネスマナーが確立していったそうです。
















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