14歳になる柴犬のサブちゃんが、フィラリア予防検査のために来院しました。
診察台の上で、少し緊張した様子を見せながらも、おやつを差し出すと美味しそうに食べ、おとなしく採血をさせてくれました。

若い頃のサブロウくん 男前ですね!
若いころのサブちゃんは、元気いっぱいというよりも“気性が荒い”タイプで、診察時には口輪が必要なこともありました。
採血一つとっても、強制的に押さえ込みながら対応していたほどでした。
あの頃のサブちゃんは、まさに、“本気”で噛みにくる勢いでした。
そんなサブちゃんも14歳になり、今では、診察台の上でも穏やかに身を預けてくれるようになりました。
あのやんちゃだった少年が、年を重ねて丸くなる──人間にはよくある話ですが、犬にも当てはまるようです。
私たち人間は、高齢になり心身が衰えても、ついつい強がってみせたり、できないことを認めたくなかったりします。
サブちゃんの穏やかな姿を見ていると、「老いる」ということを当たり前のこととして自然に受け入れることの大切さにふと気づかされます。
そんなサブちゃんですが、実は今年の2月、突然歩けなくなるという出来事がありました。
診断の結果は「前庭疾患」でした。
平衡感覚をつかさどる前庭に異常がおきることで、ふらつきやめまい、首の傾き、眼球の震えなど現れる、高齢犬に多くみられる病気です。原因にもよりますが通常は徐々に回復します。

突然の発症に、ご家族さまも私たちも驚きましたが、幸いにも現在は日常生活に支障がないところまで回復しています。
サブちゃんの頑張りと、それを支えたご家族さまの深い愛情には頭が下がる思いです。

ご家族さまのお話によると、サブちゃんは焼き芋が大好物だそうです。
今年の春、ご家族さまが家庭菜園にサツマイモの苗を数十本も植えたそうです。
「サブのために」と笑って話されるご家族の愛情に、胸が温かくなりました。
秋には、収穫したサツマイモを美味しそうに食べるサブちゃんの姿が見られることでしょう。
私もサブちゃんのように、年齢を重ねた先に、こんな穏やかで幸せな老後が迎えられたら──と願わずにはいられません。