囲碁はよく「領地の取り合い」とか「陣取りゲーム」と紹介されるが、これを聞いて「それはおもしろそうだ、やってみよう」と人は思うのだろうか。
幾つかの石で力のある形(砦のような)をつくり、戦いに備えて更に補強し(根拠を確保)、相手の弱点をチェックする。相手が仕掛けてこなければ、より広い所(辺や中央)をめざして陣形を広げる。相手のそれを邪魔する必要があれば、こちらから仕掛ける。
周辺の相手が強く、そこで小さく生き延びるだけが使命の石群もある。忍者の如く、ワンポイントで敵を乱して逃げる石もある。取られる為に打つ石もある。
「寄せ」という境界確定作業を経て、最終的な「地」に到るまでの多彩なダイナミズムが囲碁のおもしろさだ。自分の領域を示す「地」はカウントされる数にすぎない。
それを「領地」とか「陣地」とか言えば、まるで浜辺で白っぽい石と黒っぽい石を並べて、その囲った広さを競うかの如きではないか。