▼ 来訪者あり
午前に自分の部屋にて検鏡していると,突然に講座の教授先生がお出ましだ。
「ハイ,何でしたでしょう?」と部屋から出ると,教授先生の後ろには見知らぬヒトが立っている。
「実はシノ先生,こちらは先日話してた中国からの先生で・・・」
どうやら姉妹校提携をしている中国の某大学から,夏休みを利用して教授先生やら学生さんやらが視察に来ているらしい。
その御一行様の中に病院病理を専門とする先生がいるので,我が病院病理を視察させて欲しい。
・・・そう言えば,そんなことを先日に言われたような気がする。
▼ いきなり言われても・・・
「ナイス・トゥー・ミー・チュー」まではいいんだが,それ以降がよろしくない。
我が病院病理のシステム見学希望のため,業務工程の流れに沿っての説明役に急遽抜擢された自分。
いきなりに加えて,英語で説明せえとムチャ言われても困るんだな,これが・・・・・。
たとえば,「VIP」が通じない。
VIPとは,ホルマリン漬けになった病変組織をアルコール漬け,それからキシレン漬けにして,最後にパラフィン漬けにしてくれる機械のこと。
それが一言で通じんので,じゃあ説明をしようとなるが,VIPって何の略だったっけ?
え~っと,Vは確かバキュームで・・・あとは・・・知らんし・・・
わからんので,思いつくまま「パラフィン・ブロック・メーキング・マシーン!」と言ってみる。
すると,「・・・Oh! tissue processor?」と逆に切り返される。
「That's right!」と言いながらも,アホなことを言ってしまってちょっとへこむ自分。
だが,かえってこのアホな一言が場を和ませて,あとはスムーズに説明していくことができた。
▼ そう言えば・・・
自分の留学時代のボスが,日本に短期滞在したことがある。
大学の研究室に来て,いろいろ研究面のアドバイスしてくれるのはありがたいんだが。
それが休日ともなると,あちこちに観光に行きたがる。
やめればいいのに,レンタカーまで借りて自分で運転すると言ってきかない。
今週末はA神社に行ったかと思うと,次週末はB寺にお参りして・・・と過密なスケジュール。
少しはじっとしてろー・・・っと,当時は思ったもんだが,実のところは同伴していた奥さんを慰めるためムリしてたのかもしれん。
▼ 大ウケしたボス
これは,そのボスがとある神社を訪れた時のこと。
前日に詳細に地図を書いてあげたんだが,そこは老夫婦が異国の地をドライブするワケなので,当然のことながら迷う。
迷っても強みなのが,この老外国人たちは平気で道を聞くことができる。
田舎の道路でどうやって見つけたのかは知らんが,若いヒトを捕まえて道を尋ねたらしい。
「スイマセーン,〇〇ジンジャ,ドコデスカ?」
すると,その若い日本人は丁寧に道を教えてくれたそうだ。
「この先のトンネルを抜けて,すぐに右折して・・・・・」
その説明を英語でしてくれたそうなんだが,どうやらその通りすがりの若い日本人,やはり説明途中に英単語が出てこなかったらしい。
具体的に言えば「トンネル」の英訳をド忘れしたらしい。
「トンネルって英語でどういうんだっけ・・・え~っと,トンネルっ~てぇ~と~・・・・・」
おそらくこんな風にあれこれ思い悩んだんだろう,その日本人クン。
しかしエライのが,迷った末にも何とか英語で説明を続けてくれたそうだ。
「・・・え~っと,あそこのマウンテン・ホールの向こうで・・・」
マウンテン・ホール=山の穴。
これすなわち,トンネルのこと(らしい)。
この説明を聞いた我がボスは,メッチャウケて,大爆笑したらしい。
それで意気投合した彼ら。
なんでも一緒に車で神社に詣でたらしい。
ユーモアは,国境を超えた潤滑油。