続いた誤診 | 『しのゼミ』

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日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

しばらく更新しなかったが,相変わらずの検鏡三昧な日々。

特に何も変わらぬが・・・といきたいところだが,今日は誤診を二件やらかした。



▼ 誤診その1

症例は某外科の悪性腫瘍。

比較的早期のガンなんだが,組織型の分類に迷う。

Aという診断名にしようか,それともそれに似るBにしようか・・・と迷った結果,Bにする。

しかし,部内カンファにてみんなに診てもらったところ,どうも反応がよくない。

「・・・難しいなぁ・・・・・っで,シノ先生の結論は?」

「いちおうBとしましたが」

「Bですか・・・・・HE染色ではAっぽくみえますね」

「でも特殊染色を追加すると,Bのパターンなんです」

「この本には,染色パターンが〇△×ならばAって書いてありますよ」

「う~~ん,それは読んだんですけど・・・もう少し検討してみます」

どうやら,自分の結論であるBよりも,Aを推すヒトが多いようだ。

冷静になってみると,特殊染色の結果を重視し過ぎていたようにも思える。

なので,Bという診断名に結論づけるには根拠がやや乏しく,少し強引に映ってしまうらしい。

やっぱ,みんなの言うようにAなんかもしれん・・・・・



▼ 誤診その2

とある珍しい症例について,教育的なので今度の研究会で発表したいと,某外科先生が訪ねて来た。

やはり悪性腫瘍で,Cという変化にも見えるが,診断名としては迷った挙句Dとする。

そんな迷った経緯を知る某外科先生。

発表するからには,診断がしっかりしていてブレないかを,もう一度確認しに来たようだ。

「診断名をDとして発表しようと思いますが・・・」と某外科先生。

「じゃあ一緒に検鏡してみましょうか」と誘ったのはいいが,以前に診断したモノを再びみるとまた違ったようにみえるから不思議だ。

人間だからそんなことは当たり前と言えば身も蓋もなく,ブレがあるようじゃ半人前と卑下するにはちょっと酷だし,それが成長の証と言ってはお気楽過ぎだし・・・・・

とにかく,Dと診断したはずなんだが,今日の自分には正直Cにみえる。

「う~~ん,もうちょっと検討させてください」と言って,某外科先生にはお引き取り願う。

それからあれこれ文献を調べてみる。

すると,前回に調べた時とは違う知見があれこれ出てきたりして。

もう一度頭を冷やして検鏡してみる。

すると,もうCにみえる自分を止められず,C以外は考えられなくなる。

何でDやねん,C以外の何物でも無いやん・・・・・



▼ ということで沈んでます・・・

できれば避けたい誤診が二件も判明し,その担当医に釈明のためすぐに電話する。

「・・・っというワケで,診断訂正させてもらいたいんですが・・・」

「わかりました,とくに問題はないと思います」

こちらとしては,治療変更に及ぶような結果を避けたいワケだが,それには及ばずとの返事をもらって,一息つく。

誰に迷惑をかけたワケでもなく,誰に責められたワケでもない。

しかしこんなことが二件もあると,精神的に参る。

こんな日は,いつもは厳しく接する後輩のアミ先生や,ぞんざいに扱う飼い犬に対して,妙にやさしくなる。