こわいよそ者,O先生 | 『しのゼミ』

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日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

複数の科のヒトが寄り集まっての病院内カンファにて。

参加者の中に,背広姿の見慣れない紳士が一人いる。

風情からは齢50をとうに過ぎているようで,かなりの風格がある。

学究肌とかカリスマとは少し違う。

一つの道を追い求め,それに誇りを持つような職人肌的感じがある。

外科の教授先生をはじめ,外科系のドクターたちはその紳士にペコペコだ。

はは~ん・・・あれがO先生か・・・



ちょっと前に,外科医で開業中・ラン先生との世間話で。

以前ランが勤めていた某国立病院での上司である外科部長先生が,故あって職を辞し生まれ故郷のこちらの方に帰ってきているとのこと。

その外科部長先生,メスを揮った数はその地区の外科医でNo.1.

とにかく手術手術の連続。

ヒマがあったら手術しているような先生らしい。

カレンダーは,予定されている手術でビッシリと埋まっている。

たまに予定が空白になっている日があるが,それは休暇ではありえない。

予定空白日は学会日(もしくは研究会日)と決まっている。

学会に参加したらしたで,その先生の専門分野の発表は必ず聞きに行く。

そして発表後には質問攻め。

手術好き,学会好き,頑固,負けず嫌い・・・

そんな「外科職人」のような先生。

「どうやらこれからは,大学病院のカンファにも参加するって噂らしいやん」とニヤニヤしてランが言う。

「あっそう」と自分。

「病理にも詳しいからなぁ,あの先生」

「ふぅ~ん」

「まぁ厳しい突っ込みがあるかもしれんけど・・・がんばりや」

・・・その外科部長先生というのがO先生。



隣の若手外科医を捕まえて聞いてみる。

「あれって,噂のO先生?」

「えっ?・・・そうっすけど・・・よくご存知で」

「O先生って・・・こわい?」

「えっ?・・・よくご存知で・・・病理の世界でも有名なんですか?O先生って」

「そういうわけじゃないけど・・・」

「とにかく厳しい先生なんで,こんな院内カンファでも油断できません」

「こんなカンファでも?」

「そうです。前もっての予習っていうか予行が大事です」

「予習って・・・大変やなぁ」

「ヘンなことを言ってしまうと,メッチャ厳しく突っ込まれますから・・・」



非常に引きしまった感じの院内カンファが始まる。

普段よりもちょっとばかし積極的な発言や質問が目立つ。

とうのO先生の発言は少ない。

しかし問われれば的確な意見を述べる。

「動かざること,山の如し」という感じだ。

今回は病理所見を提示するチャンスはなし。

ホッとする反面,少し残念でもある。

次回は病理を提示しなければいけないが,どうなることやら。