マジすか学園外伝・Sの遺恨 第百五十二話 | ガツキーブログ

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主にマジすか学園の二次創作を更新しています。48G・坂道Gが大好きで、よかったら気軽に読んでください。

※更新が遅れまして申し訳ございません。







時刻は午後、そこは教員達が使う会議室。






だがこの時使っているのは教員ではなかった。そこには三人の人間がおり、その一人は校長である野島百合子だ。






野島「ですので本校は明日休校することになり、ひとまず様子を見る方向です。」






長机に手を置き、椅子に座り誰かと話している。






野島校長に向かい合う様に別の長机にメモ帳を置き、座って話を聞いている眼鏡をかけた低いポニーテールの女と、顎を摩りながら会議室の窓ガラス越しに適当に外を見ている男がいた。






「では襲ってきたバイカー達に見覚えがないんですね?」






野島「ええ、こちらから生徒への事情聴取をお断りしたので私自身で生徒に聞いたところ、誰も知らないと。あと教師達にも心当たりがないそうです。」






野島と話しているのは抜暮南署の刑事の高橋警部補で、外を見ているのは韮沢刑事だった。






二人はマジ女がバイカー集団に襲撃され、多数の重軽傷者を出した暴行事件の事情聴取をしにマジ女に来て、今野島校長と話しているのだ。






事情聴取が始まってから十数分経ったが、高橋が野島から聞けたのは襲撃があった事実と、その原因がわからないこと、






生徒も教師もバイカー達の正体に心当たりがない事、などまだ何も詳しく調べてないので聞けることは限られていた。






高橋「そうですか…ではそのバイカー集団の特徴は何か聞いていないですか?」






野島「急に襲い掛かってきたのでそう言った話はなかったですね。みんな気が動転しているみたいなので、まだ時間がいるようですね。」






慌てず焦らず、野島は終始落ち着いた様子で話していた。そんな野島を見ている高橋は腹の底が読めずにいた。






刑事をやって何年も経っているが、相手は年の功と言うべきか襲撃による暴行事件が起こってるのに動揺している様子もなかった。


警察相手でも動じない。学校にも生徒達にも思い入れがないからそんな態度でいられるのかと思われてしまうかもしれない。






だが野島はそんな理由でここまで落ち着いているわけではない。このマジ女に思い入れがあるのは当たり前で、生徒に至ってはたとえ少年院に送られても決して退学にはしない器量と懐の深さがある。






ただ野島はこのマジ女の校長としてその責務を全うすることに覚悟を持って臨んでいる、それだけでなのだ。






野島「他に聞きたいことはありますか?」






高橋「……いえ、今日はこれで終わります。また調べて行く内にお伺いすることがあるかと思いますのでまたご連絡します。」






野島「そうですか、では今日はありがとうございました。」






高橋「韮沢、行くぞ。」






高橋は窓の所でうろうろしている韮沢を呼ぶと、韮沢は返事をしながら高橋の近くまで歩きだす。






韮沢「にしてもあれですね、このマジ女ってのは相変わらずですね?」






帰ろうとするのだが、足を止めた韮沢は野島にそう口にした。






野島「それはどういう意味で?」






韮沢「いやちょっと昔の事を思い出しましてね…。そういえばもう三年になるんですよね、“あの時の事件”。」






韮沢のその発言に野島から錬磨された重い士気が溢れ出す。表情は崩れていないが、室内の空気が変わるのを感じる。






韮沢「女子高生が裏社会組織に中国マフィアと銃撃戦するなんて稀過ぎて忘れる方がおかしいですよ。


その翌年も真壁組とその下っ端の暴走族と揉めたって聞きますし、今もだってバイカー集団に襲撃されてる。


このマジ女に通う女子高生は恐ろしいなぁって。命知らず過ぎますよ。」






野島「それはわざと煽ってるのでしょうか?」






高橋(マズい…)






野島から敵意を感じ取った高橋は韮沢の肩を掴み無理やりにでも帰らそうとする。しかし野島は手を前に出し高橋を制止させる。






野島「三年前の事件の時、私はマジ女の校長ではなかったので当時の事は文面でしか知らないです。


他所の方々から見れば彼女達の行動は愚かだとお思いになられるでしょうが、私はそうは思いません。


イチ個人としては命を粗末にするようなことをしてほしくはありませんが、彼女達はやらない後悔よりやって後悔を選んだのではと私は思います。


例え命を落とすかもしれないのに、その覚悟を持った彼女達を誰が止められようか…あなたは止められたと思いますか?」






野島は韮沢に逆に問いかけた。例え止めようとしても止められない彼女達を警察で刑事である韮沢なら止められたか…。






韮沢「…それは無理でしょうね。」






高橋「いい加減にしろ韮沢、帰るぞ。」






飄々としたその表情を崩すことなく答えた韮沢。高橋は先に韮沢を会議室から出て行かせると、野島に頭を下げて謝る。






野島は高橋が出て行くのを見送ると、一人会議室に残り窓の前まで歩くと気持ちを落ち着かせるように外を見ていた。
















マジ女から出た二人は車に戻る。韮沢が運転席に座り、高橋が助手席に座る。






高橋「さっきのは何だ韮沢。今後協力してくれなかったらどうするつもりだったんだ?」






高橋は先ほどの野島に対する韮沢の発言について咎める。






韮沢「いやぁあの人は何か知ってたとしても話さないでしょ。何も知らないを完璧に装えるタイプですよあれは。」






高橋「確かに食えない顔をしていたな。だが何を探り出したくてあんなことを言ったんだ?」






韮沢「……ただ思い出したことを口に出しただけですよ。警部補はマジ女初めてでしたっけ?」






高橋「……いや、私も昔来たことがある。」






高橋もかつてマジ女に来たことがある。今から七年前になり、かつてマジ女のテッペンと言われていたが自身はラッパッパ副部長として別行動をとっていた前田敦子。






そんな彼女は一線を越えるほどまで街でチンピラ相手に数々の暴行事件を行なってきた。人の命を殺める一線は超えていないが、危険視されていた。






高橋はその事件を担当していた。そのため前田敦子についてマジ女に事情聴取に来たことがある。前田が自首した後でも何度か訪れたことがあり、今日来たのは本当に久しぶりだった。






高橋はそれ以上何も言わなかった。韮沢もそれ以上は何も聞かず、黙って車を走らせる。






七年前の前田敦子による暴行事件、三年前のマジ女の生徒を中心とした女子高生と裏社会組織の事件を担当していた韮沢。






偶然にも二人の共通するものはこのマジ女だった。マジ女の校舎を見て当時の事を頭の中で過らせた二人は一旦署へと戻る。











高橋警部補はマジすか学園2での前田敦子、韮沢刑事はマジすか学園5でのさくら、二人の刑事はマジ女を訪れ過去の記憶を思い出す。マジ女に通う、ヤンキーとの記憶。



決戦までの長い一日はまだ続く。



次回の更新は月曜日です。