マジすか学園外伝・Sの遺恨 第五十五話 | ガツキーブログ

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主にマジすか学園の二次創作を更新しています。48G・坂道Gが大好きで、よかったら気軽に読んでください。

 






マジ女に絢音が戻ってきた日の翌日、空は曇り空だが雨が降る気配はない。






そんな街の中、一人で高柳明音は通りを歩いていた。モッズコートのポケットの中のナイフを手で触りながら歩く。






高柳「………」






当てもなく歩き、空を見上げる。鳥が数羽飛んでおり、それを追いかけるように歩く。






高柳は鳥が好きだ。子供の頃鳥の図鑑を見ていたのを覚えている。高柳は鳥は自由だと思っている。






風を感じ、縛られることなく好きな場所に行ける。法も何もない人間以外の生物の中で、一番鳥が自由だと高柳は思っている。






鳥が飛んでは休み、飛んでは休みを繰り返している中高柳はそれを歩いて追いかけていた。






追いつけるはずもなく、距離が縮まったと思ったらまた離れて行く。するとその鳥が長く止まっている建物にたどり着いた。






小さい建物だが、看板に不動産と書かれていた。






建物のガラス張りの出入り口の傍に様々な物件の紙が貼り出されていた。街の近場もあれば遠い場所の物件まである。高柳は何を思ったのかその貼り出された紙を色々見始める。






貼られた紙は店内側にあるので手に取れないが、前の目めりになりながら見て行く。すると店内から一人のおばちゃんが出て来る。






「あらいらっしゃい。どこか部屋を探してるの?」






高柳の正体など知らないおばちゃんは高柳に声を掛ける。






「それとも気になる物件とかある?」






人の好さそうなおばちゃんは高柳に近づく。すると高柳は一つの物件に指を差す。と言うよりはその物件の住所の欄に載っている地域の名前に指を差している。






高柳「これ、なんて読むんだ?」






「ん?あーそれね。“嵐ヶ丘(あらしがおか)”って言うんだよ。」






高柳「あらし…がおか……」






高柳が指差した住所欄には確かにこう書かれていた。“ユートピア嵐ヶ丘”と。






「そこが気になるのかい?」






高柳「見たことも聞いたこともない所だからどこにあるか知ってるか?」






「“神崎(ごうさき)ランド”って不動産会社が再開発した街の一つでね、あたしのとこはそれ系列の物件も扱ってるんだよ。


まぁ治安の悪いこの街から出たい人に勧めるんだけど、場所が場所でねぇ…電車でも一応いけるんだけど、この街からは結構距離があるんだよ。」






高柳「へぇ、この街からは遠いんだ……いいね。」






高柳は嵐ヶ丘に興味が出てきた。名前なのか、ただ遠いからなのか、とにかく興味が出てきた。






「遠い場所が希望なら一応神崎ランドが再開発した街の物件も中に入れば見せられるけど嵐ヶ丘でいいのかい?」







高柳「んー嵐ヶ丘がいいかな。理由は…なんとなくだけど。」






「ならこの物件以外にもあるんだけど、この街から引っ越す予定でも?」






不動産の店のおばちゃんがそう尋ねると、高柳はおばちゃんの方へ顔を向ける。






高柳「予定は今できた。けど、まだやることがあるから終わったらまた来る。その時に色々見せて。」






「そうかい、じゃぁその時まで待ってるよ。」






高柳はおばちゃんとの会話を終えると背を向けまた当てもなく歩きだす。






設楽からの呼び出しやゴーサインが出るまでは何もかもヒマだった。だけど嵐ヶ丘の話は気が紛れた。金を稼いだら好きなところへ行こうと高柳は思っていたので、仕事を終え設楽から報酬をもらったら嵐ヶ丘へ行こうと高柳は決めた。






裏通りへ入る高柳。人通りは少ないが、まだ昼間なのでそれなりに人は通っていた。だが偶然にも一人の女が高柳とは反対方向から裏通りを歩く。






二人の距離はどんどん縮まる。二人共何気なく裏通りに入り、ただ足を進ませている。






すれ違う人を気にせず歩く二人、距離が縮まり互いにその姿を視認できる距離まで来た。






これが赤の他人ならただすれ違うだけだろう。肩などがぶつかれば謝るかそのまま無視して行くか喧嘩に発展しまうだろう。






そして互いが互いを視認できる距離に達すると、二人は立ち止まった。反対側から歩いてきたその女を見て、高柳は驚きの後笑みを溢す。






過去の記憶がどんどん過って来る。この時、この再会をどれほど待っていたのかを表すかのように高柳の顔は喜びの笑みで溢れていた。






高柳「会いたかったぜ~…センターぁああ。」






高柳の視線の先には高柳戸の突然の再会に驚きを隠せずにいるセンターが立っていた。






センター「…た、高柳?」






驚いたセンターは途端に過去の記憶が過る。ナイフで自分を刺した張本人が今目の前にいる。あの時の高柳の顔、あの時の高柳が持つナイフが太陽の光を反射させた瞬間、あの時のナイフの刃が体に入って来るあの異様な感覚。






それらが蘇って来たかのようにセンターの右腕が少し震える、同時に背筋も凍り出す。思い出すのさえ意識して避けていたのに、数年越しに高柳の顔を見た瞬間無意識に思い出してしまった。






センター「なんでお前がここに…」






高柳「満期出所だよセンター。あれから良い子にしてたんだよ私は。お前に会えるのをどれだけ待っていたか…この街にいて本当に良かったよ。」






高柳はセンターに合えた喜びが大きく笑いながら身震いする。右手をモッズコートのポケットに突っ込みナイフを取り出そうとする。それを見たセンターは構える。






センター「………」






センター自身こんな展開は予想外だった。自分と高柳との過去はもう終っているのだと勝手に思っていた。高柳に刺され、病院に入院してその後退院。中学にまた通いだしたが高柳に会うことはなかった。






マジ女に入学してからも、中退してからも、高柳に会うことはなかった。まさか刑務所に入っていたとは知らなかったが、会うことが無い=もうセンターのトラウマ的な過去はよほどのことが無い限り思い出すことはない。そう思っていた。






だけどそのよほどのことが今この時起きてしまった。構える二人、センターはここで高柳と戦うことになると覚悟していた。






高柳「………」






しかし高柳はポケットから手を出す。その手には何も持っていない。それを見たセンターも構えを解く。






高柳「やっぱお前の苦痛の顔を見るのは取っておく。まだ仕事があるし、それが終わったら相手してやるよ。」






センター「仕事?」






高柳「それ以上は事情で言えない。しかもここじゃ余計な邪魔が入りそうでお前の苦痛の顔をじっくり見れない気がする。」






そう言う高柳を見てチラッと横を見ると、二人の異様な空気を感じてか端を歩きながら素通りしていく通行人が見える。






高柳はここでセンターの苦痛の顔をじっくり見ようとしても、通報されたりしてその時間が充分取れなくなるのを危惧したようだ。






高柳「じゃ、そう言うわけで帰るわ私。でも、仕事が終わってなくても次会ったら抑えきれず刺しちゃうかも。」






そう言って狂気が混じる笑顔をセンターに向ける。そしてセンターは高柳の顔を見て、高柳の言う仕事が非人道的なものであると察する。






センター「高柳!」






センターに背を向けその場から去ろうとした高柳を呼び止める。高柳は不気味な笑顔のままセンターの方へ振り向く。






センター「お前の仕事が何なのかは知らないが、この街を汚すようなことはするな。」






高柳「それは無理って言ったら?」






センター「私がお前を止める。」






センターの言葉に高柳の中で高揚感が湧き上がる。センター方へ体も振り向かせ、センターの決意と士気溢れる目を見ると、更にその高揚感が増す。






高柳「いいねぇセンター!その目、その顔を歪ませるのが楽しみだ!最高の苦痛の顔をまた会った時に楽しみにしてるからな。」






そう言って高柳は笑いながら再び背を向け歩き出し、その場から去った。一人で立っているセンターは早くなる鼓動を押さえるように息を整えながら自分の服の胸部をギュッと握る。










ついに再会したセンターと高柳。だが高柳はすぐにナイフで切りかかるどころかセンターとの戦いを後に取ってくことにした。次この二人が会った時、そこは戦場と化す。



急な展開になりましたが、どこでこの二人の再会シーンを出そうかと迷っていたのでここで出しました。



マジムリ学園の舞台である街、嵐ヶ丘を出したのは、マジすかとマジムリの世界はきっとつながっているだろうという想いを込めて出しました。



次回の更新は水曜日です。次回からはマジ女編です。






~プチ雑談~



第三者委員会は一か月半を目途にしていますと言われ、もう一か月半以上経っていますが、まぁ目途って言ってますから表記している日以上経っても仕方はありませんが、、、



握手会では色々言われたかもしれないですが、無事に終わったみたいです。



ぶっちゃけると複雑ですね。調査報告が終わってからでもいいじゃないかって思うところもありますし、裏切りメンバーじゃないメンバーのファンからしたら嬉しいだろうし、



山口真帆を応援している側ですが、これからわがままを言います。



今回の握手会の参加は、山口真帆は男に襲われ傷を負っている、疑惑メンバーはいないように思わせようとしている感が否めません。



襲わせたメンバーがいる、ファンを裏切ったメンバーがいると言ったまほほんの嘘もしくは狂言にしようとしていると思っちゃいます。



だから自分はまほほんを嘘つきにはしたくないです。事件関与とかそういうの関係なく裏切ったメンバーがいるのなら排除してほしいです。羽切瑠菜のように即日辞退のような感じで去ってほしいです。



それが強メンバーだろうが太客であるファンがいるメンバーだろうが。



そしてまほほんには卒業してほしくないです。NGTも解散してほしくないです。



NGTのステージで再び輝く山口真帆が見たいです。



まほほんを嘘つきにしないためにも第三者委員会の調査報告はまほほんの意に沿った内容であってほしいです。



完全なわがままです。すみません、でも今まで回りくどいようなことを書いてきたので結局何が言いたいんだというのをまとめました。



今のNGTをどう見たらいいのかもわからない状態ですし、誰が裏切りメンバーなんだと疑惑の念を向けてしまう自分に嫌気がさします。



もし誰も去らない、山口真帆だけが去ってしまう事態になってしまったら、NGTに対しての不信感の矢印を完全に向けてしまいます。



山口真帆を厄介者扱いして遠ざけようと仕向けている運営だと思いたくないですが、そう取られるようなことになってしまったら、その罪は重い。