タケという友人がいる。
タケはシングルファーザーだ。
嫁は他に男が出来て、家を出て行ってしまった。

タケとの付き合いは5年になろうとしている。
知り合ったきっかけは、タケが私に喧嘩を売ってきた事からはじまる。
身長は160cmあるかないか、体重も50㌔無いだろう。
リーゼントでサングラスをかけて派手な服を着て。
そんな奴が、一人で飲んでいた私と目が合っただけで、”生意気”だと言って喧嘩を売ってきた。
当時も私は坊主頭で、ガタイだけは良かったのだが、皆さんも知ってのとおり、声を発するとまるで迫力が無いので、無視してアーリータイムスのロックを飲んでいた。
その時は、タケの周りにいた人間が止めたので事なきを得た。
そして翌日、シラフのタケが店に来て謝ってきた。
もう、それでノーサイド。
そこから、付き合いが始まった。

タケには小学校3年生の娘がいる。
母親が出てしまった後、父親であるタケと二人、ひっそりと手を取り合って生きている。

学歴の無いタケは、キャバクラのボーイをしながら生計を立てている。
仕事が終わると、これだけが今の俺の楽しみと、うちの母がやっている飲み屋に来ては酒を飲んでいる。

本当は、娘の成長が一番の楽しみなんだろ?

ささやかかもしれないけれども、それは尊い幸せに違いない。