小鳥遊明莉は落ち着かない様子でカフェうつせみの店内をウロウロして、しきりに時計を見ている。

「あーちゃん少し落ち着けよ」

そう言って明莉の前にコーヒーを置いたのは四月一日友哉、このカフェうつせみのマスターであり、亡き夫靖文の親友で、明莉が一人息子の優斗を5年前に事故で亡くし、その2年後に夫靖文を病気で亡くした明莉をずっと支えてくれた人。

「わかっているけど…愛唯ちゃんの事が心配なの」

「大丈夫だよ、愛唯ちゃん1人じゃないからさ」

ニッコリ笑う友哉。


カフェレトロでは動揺を隠しきれない亮が苛立ち始めた。

「知っていますよね?帯刀笑美里さんの事」

間髪入れず愛唯ちゃんは亮を追い込んでいく。

「知っていたらなんだっていうんだ!お前には関係ないだろ!」

席を立ちその場から離れようとする亮の前にある人物が立ちはだかる、レトロのマスター阿倍野だ。

「真相を話してもらうまではまだ帰すわけにはいかないんだよね」

亮はチッと舌打ちをするとジャケットの内ポケットからナイフを取り出し阿倍野に襲いかかるが軽々と避けられてしまう。

次の瞬間、亮は近くに居た女性を人質にしようとするも彼女は瞬時に身を翻し、亮の腕を掴んでねじあげる。

「お馬鹿さん、私はこれでも現役の刑事なんだけどね」

「!?」

「はーい、公務執行妨害で逮捕します!」


一方病院では茂森と樹の間に重い空気が流れていた。その時茂森のスマホの通知音が鳴り画面を見た茂森がニヤッとする。

「ゲームオーバーだ結城樹、舘が確保されたってよ」

「嘘だろ?!」

その場にへなへなと崩れ落ちる樹

「えっと…茂森さん一体何が起きているんですか?」

笹原拓司はいまいち状況が掴めず戸惑っている。

続く