茂森の言葉に動揺する樹(ジュリ)だったが、何かを取り繕うかの様に愛想笑いで冗談を言う
「やだなぁ茂森さん、もしかして茂森さんも愛唯ちゃん推しですか?」
「いや、お前さ俺の前職知っているよな?」
いつもの穏やかな印象の茂森さんとは別人の茂森さんが居た。

同時刻、愛唯は喫茶レトロの扉を開け、店内の中央あたりの席に座っている耳にピアス髪をピンクのメッシュにしていかにもチャラ男という感じの男性にゆっくりと近付いていく。
「こんにちは、舘亮(ダテリョウ)さんですか?」
「あぁ、そうだよ へぇ君みたいな娘が俺なんかに興味あるの?」
愛唯を見て意外だという表情をして身を乗り出して見てくる。
「興味というよりお聞きしたい事があるんです」
舘の向かいの席に愛唯はバッグの中から一枚の写真を取り出し、テーブルの上にそっと置く。
みるみると舘の表情が強ばっていくのがわかった。
「この写真の女性知っていますよね?!」
続く。