ぼくは元々体が弱くて運動が大の苦手な少年だった。
それで、このままでは将来おとなになって働けないという危機感と劣等感を持ち続けていた。
どれくらいそれが強い劣等感だったかと言うと、
他人のおとなや友達に、自分は体が弱いのだと言えないくらいだった。
それで高校時代に自分でメニューを組み立てたりして、
たとえばジョギングだとか縄跳(なわと)びだとか、
当時は今で言ういわゆるスポーツジムなどは無かったし、
子供だったからもちろんそんなおカネも無かったからそうしたのだが、
結論だけ言うと、そういった一連のトレーニングにも関わらず、
残念ながらぼくの体は少しも丈夫にもならなかった。
そして当時の言葉で言うところの"燃え尽き症候群"になってしまった。
ぼくはその後も人生で幾度も挑戦し失敗してきた自身のそういった体験の結果として、
5年位前当病院へ入院してから、
"適度な運動"ということをいくらやっても逆に体は疲れて衰えるばかりだと訴えて、
"適度な運動、適度な運動"などと馬鹿の一つ覚えのように信じる”宗教”とはお別れしたい。
というようなことを主治医に言ったところ、
彼は、じゃあずっとじっとしている方が良いと言うのか?
そんな馬鹿なことがあるか、と一蹴(いっしゅう)した。
まあしかし、かと言って主治医は私に運動を強制するわけでもないので、
まあ私はギリギリのところで生きている。
つまり私は、毎日死にたいと思うほどの倦怠感・疲労感をまるで十字架のように背負っている。
またある作業療法士のSさん(男性)は、
自分は運動をするくらいなら死んだほうがましだと言う人に、
運動を勧めるつもりはありませんと言っています。
私は考えてみればもう64歳と言う年齢から言うと、
ぼちぼち何でも加齢のせいでの衰(おとろ)えだという言い訳も多少は許されるのかもしれない。
第一、世の運動信仰者の方々が、
本当にご自身も有効にその運動をやって丈夫になることに成功した方がどれほどいるのか?
私には甚(はなは)だ疑問なのです。
彼らがみな悪意を持っているとは言わないが、
私は”運動信仰者”の言うことは信じたくもありません。
そのうちその運動信仰者のウソを証明する人が出ないかと密かに期待しています。
ちなみに、つい先ほど話した若い薬剤師Yさん(女性)は、
そう言いながらも自分も運動してはくじけたり悪戦苦闘したりしているのですと言っていました。
まあ皆そんなものだと思いますけどね。