『連帯保証人』について

当機構に寄せられる連帯保証人についての相談で

(1)賃借人による賃料不払いがあった(行方不明となったという相談もあります。)として、連帯保証人である自分に弁済請求が来たが、賃貸借契約更新の際に自分に何の話もなく、更新後の契約については自分に連帯保証責任はないのではないか。

(2)賃借人が自殺し連帯保証人である自分に損害賠償請求が来た。

などがあります。


まず(1)のような相談の背景として平成9年11月13日の最高裁判例があると思われます。

賃貸借契約の合意更新後に賃借人による賃料不払いが発生し、賃貸人が2年分の延滞賃料を連帯保証人に求めたところ、連帯保証人側は、保証契約は更新後の賃貸借契約に当然に及ぶものではなく賃貸借契約更新後に生じた未払賃料等について連帯保証債務は存在しないなどの主張をしました(第一審は認容)。

しかしながら、最高裁判所は
「期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである」
として、連帯保証人側の主張を棄却しました。 

実務の側でも、連帯保証人とのトラブルを防ぐため、当初の契約書等の中に
「(連帯保証については)本契約が合意更新あるいは法定更新された場合も同様とします」
と記載したり、賃貸借契約更新の都度連帯保証人も含めて賃貸借契約書を結びなおす、提携する家賃保証会社の利用を勧めるといった対応が行われているようです。

(逆に連帯保証人側から押し戻し、一部認容判決とした、平成25年6月14日東京地裁の判例もあります)


次に(2)のような相談についてですが、例えば住宅宅地審議会答申に基づいて作成された賃貸住宅標準契約書第16条の「連帯保証人」の条項でも
「連帯保証人は、賃借人と連帯して、本契約から生じる賃借人の債務を負担するものとする」
としているように、賃貸人からの損害賠償請求はなかなか防ぎようがなく、請求額の妥当性を争うほかないと考えられます。

平成26年8月の法制審議会で承認された民法改正要綱仮案において建物賃貸借契約における個人保証の場合の極度額制度が採用されました。


※(一財)不動産適正取引推進機構 RETIOメルマガより抜粋



最後の民法改正要綱仮案の部分は、法務省が来年の通常国会に提出する予定である改正の目玉、民法典第三編の債権法についての部分です。

①法定利率を3%に引き下げた上で変動制導入、②欠陥品の対応多様化、③賃貸契約の敷金ルールの明確化、④中小企業融資で求められる個人保証を原則禁止、⑥短期消滅時効の廃止、などが骨子の様です。

特に②瑕疵担保責任、③敷金、④保証の範囲は、不動産に大きく関わる部分です。

②ならば、買った家の基礎工事の手抜きとかシロアリがついていたというように、購入前には気づかなかった欠陥(瑕疵)が後で見つかれば、売り手に救済を求めることはできますが、現行は契約解除か損害賠償しか請求できません。これを、修理や交換、値引きなども請求できるよう多様化し、消費者救済の道を広げようというものです。

現行法では、一部他人物売買と数量不足売買しか、代金減額請求は認められていません。
弊社も提唱しておりますが、改正後の中古住宅の売買には、ますます住宅瑕疵保険が必要となるでしょう。

③部屋を借りる際の敷金は明文規定がありませんでしたが、定義や返還の範囲をルール化して、しばしばトラブルになる修理費用について、「借り主は経年変化に対する原状回復義務を負わない」と明記し、貸主に契約終了時に敷金を返すよう義務付けるものです。

④保証の範囲は、前半の引用記事にあります様に、個人補償には極度額を設ける内容です。


今後の民法改正の動向は、個人的に気になるところです。

※2014/9/14 J-CASTニュース一部引用



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