賃貸人の破産…敷金取り戻しの分かれ目は?

【Q】
平成6年に現在の住居を借り、今も住み続けています。

先日、大家さんが来られて「実は近々個人破産をすると思うので、今後のことは債権者の銀行と相談して欲しい」と言われました。

この家の契約は、敷金30万円、礼金10万円、家賃は5万円です。契約の時点では銀行からの借金は無く、登記簿もきれいなものでしたが、4年目の平成10年に銀行の抵当権が付いたようです。

その後、平成11年に初めて更新の契約を言われ、新しい契約書に署名しましたが、条件は変わらずでしたので、気にも留めていませんでした。

契約期間は平成11年から2年間、更新可能で、その後はまた更新契約を行なっていません。大家さんが破産した時、預けた敷金はどうなるのか、また、所有者が変わった場合、ここに住み続けることができるのかを教えてください。



【A】
民法619条に規定される「黙示の更新」は、一般的に法定更新と言われ、不動産業界では頻繁に使用される便利な文言となっています。

しかし、通常の賃貸借(この場合は借地や借家を例にとる)契約の約定を見ると、本来の意味での法定更新が適用されている例は非常に少ないということを申し上げておきます。

なぜなら、不動産業界が使用している一般的な約款には、もともと合意による更新を規定し、短期賃貸借(民法602条・平成15年改正により16年3月31 日廃止)の制度を取り入れる慣習などから、建物3年以内(土地については5年以内)の契約期間を定めるものが殆どであり、期間満了の都度更新契約を締結する煩わしさを省くために「双方異議を申し立てないときは従前と同一の内容で更新される」との特約により、期間の満了後も賃貸借契約を継続していることを前提とした法定更新とは区別しているからです。

さて、質問者の場合は、契約期間満了前(平成11年)に改めて契約を締結していることから、合意更新とは異なり契約更改と見ることもできます。
その場合は、従前の契約は終了(解約)しており、更改時より新たな賃貸借契約が効力を生じますので、貴殿は平成10年の抵当権に劣後する賃借人ということになりますが、契約期間2年の短期賃貸借は旧法の適用を受けており、家主の破産により抵当権が実行されたといえども、平成21年までは賃借権を対抗できます。

それ以後は競売によって当該借家を買い受けた第三者の明渡し請求後3ヶ月で契約は終了し、借家を明渡さなければなりませんが、敷金返還は買受人に請求することができます。

もし、契約更改が平成16年4月1日以降になされておれば、競売による買受人の明渡しを拒むことができる期間は請求後6ヶ月となり、更に敷金返還を買受人に請求できず、敷金は諦めねばならなかったかもしれませんね。



各仲介業者では、民法395条に定められていた短期賃貸借保護制度が法改正により廃止されて以降、重要事項項説明書で敷金・保証金の返還リスクはキッチリ説明していると思います。

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