地区予選
今日はいい天気だな。早く起きてよかったかな。
「じゃ、いってくる!」
「気をつけてね」
風が気持ちいい。俺は自転車を止めて体育館に向かった。
「彰?」
「・・・慎二か?お前今日は早いんだな」
「今日は?お前いつもやってるの?」
「俺は毎朝やってるよ。たぶんそろそろ」
ガラガラー。なんだ?
「きたきた」
部長!部長も毎朝やってるのか。彰と?
「今日は北川もいるのか。めずらしいな」
「おはようございます」
「おはよう」
やっぱりいつもやってるんだ。俺はできないな。毎朝5時なんて・・。俺、彰、部長は別々のリングでそれぞれ練習をした。30分たったくらいに・・。
「北川。シュートのアレンジは考えてるのか?」
「アレンジですか?パターンはいくつか」
「そうか。・・そういえば昨日ケイにジャンプシュートを教えてもらったそうだな。ケイが言ってたぞ」
「はい」
「見せてみろ」
今!?まだ自信ないんだけど・・。彰も見てるよ。やるしかないか。俺は部長と白石先輩に教えてもらったことを思い出しながらシュートを放った。スパッ!キレイに入った。やったね。10本打って7本入った。
「昨日教えてもらったのにわりと入るじゃないか。これでシュートエリアが大分広くなったな」
おお!なんかうれしい。そういえば今何時だ?・・6時か。そろそろみんなが来ても・・
「お!木村さんたち早いッスね」
白石先輩と田中先輩だ。
「木村先輩。おはようございます」
高橋さんだ。しばらくして2年生が全員来た。そして3年生も。
「みなさん全員いますね?それでは行きましょうか」
会場まではバスに乗って向かった。隣は彰だったけどなにも話さなかった。
「よーし、ついたな。荷物を持っていくぞ!」
俺たちの初戦の相手は西山商業高校。昨日は78対60で勝ったんだってさ。
「今回のスタメンは木村君、田中君、小山君、高藤君、山梨君でいきます」
「はいっ!」
白石先輩、平松先輩じゃないのか。それほど相手は強くないのかな?
「湘南白、西山商業緑で始めます!」
ジャンプボールはもちろん木村先輩が勝った。相手の最長身は186cmで小型なチーム。
「1本決めましょう」
開始5分。20対8。圧倒的な試合だった。そして・・。
「ブゥー」
第一クウォーターで35対18。
「第一クウォーターはとても良かったです。第二クウォーターからはラン&ガンで攻めてみてください。オーソドックスなプレーが得意なチームですが、今年は長谷川くん達が入り、速い展開にも慣れた方がいいでしょう」
「わかりました。よし、第二クウォーターからは展開を早くする。山梨、頼むぞ」
「はいっ」
これ以上早くしなくてもいいと思うんだけどな。だってこのままいけば100点なんて簡単にいくのに。なんでだろ?
「ブゥー」
「いくぞ!」
「なぁ彰。なんでこれ以上早くするんだ?」
「さぁーね。知らないよ。ただ、俺は早いほうが好きだな」
彰のタメだったりして。そんなはずないか。・・いつのまにかもう3分たってる。
「ナイスブロック!」
部長のブロックショット!点は、48対24。かなり差が開いたな。
「白石君。いきますよ。アップしておいてください」
「はい」
白石先輩か。もっと早くなるぞ!彰だったらさらに・・。
「ピッ!アウトオブバウンズ、湘南。・・メンバーチェンジ、湘南!」
「山梨君、お疲れ様でした。白石君、頼みましたよ」
「任せて下さい!」
「ケイ、前半でケリをつけるぞ!」
「OK。さぁー、1本!」
速い!白石先輩1人で決めにいった!ブロックは2人。体勢が崩れた!
「ピッー。ディフェンス5番!」
よっしゃ!バスケットカウントだ。白石先輩はちゃんと決めて3点プレイ。そして残り1分。点は84対43。
「ブゥー」
前半終了!そして点は86対43。今はハーフタイム。
「前半はとても良かったですよ。この調子でいきましょう。でも気を抜いてはいけませんよ。木村君。少し話があります」
「なんでしょうか?」
「前半から長谷川君を入れようかと思っています。木村君はどう思いますか?」
「監督。そのことですが長谷川はわたしに任せてくれませんか?」
「・・・・・わかりました。任せましたよ」
「ありがとうございます」
監督と部長なにを話してるんだ?まぁいいか。この試合はもう負けることはないだろうな。次の試合はどこだろう。
「彰、次の相手ってどこかな?」
「次は南第二なんじゃね?」
「南第二?第二は弱いの?」
「さあね。でもうちが苦戦するほどじゃないでしょ」
そういえば彰って全国何位なんだろ?
「彰ってさ、中学の時全国何位だったの?」
「俺?ベスト4・・」
ベスト4?・・・・全国4位!?すげぇ。
「やっぱり彰ってキャプテンだったの?」
「まあね」
「ポジションはガードなんだよね?PG?SG?」
「・・・フォワードだよホントは」
「え?入部の時ガードって言ってたじゃん!」
「ああ。別にガードでもやっていけるし。俺がフォワードやるには小さいしね。フォワードは高二からでいいよ」
「俺のポジションどこかな?」
「キャプテンいるからPFでしょ」
PFか。PFには平松先輩も高藤先輩もいるんだよな。スタメンなれるかな。自信ない・・。彰はガードだったら山梨先輩より背は高いし小山先輩とは背は一緒だし彰の方がうまいし。さすがに白石先輩を落としてスタメンにはなれないかもしれないけど。
「彰さ、スタメンになれよ!」
「・・・なるさ必ず。慎二もな」
えっ!?俺も?
「俺もかよ。高校から始めた俺がスタメンになれるかよ」
「なれるさ、慎二2番目に身長高いし」
やっぱ身長か。バレーの時もそうだったな・・・。
「あと、素質がある!」
彰は力強く言った。俺は正直嬉しかったよ。
「まあがんばるよ」
「オフェンスチャージング!」
おっ!木村部長のフりースロー。シュートは外したのか。
「リバン!」
部長が二投目を外した!?田中先輩がリバウンドを取ってシュート決めたけど部長が外すなんて・・。
「わざとだな」
わざと?そうか、二投目を外してリバウンドを取れれば3点入るもんな!
「ブゥー。試合終了!142対68で湘南高校の勝ち!」
「ありがとうございました!」
あれ?
「いつ3クウォーター終わったの?」
「お前が質問ばっかしてきてるとき」
まあいいか。これで次の試合に勝てば県予選。
「じゃあ荷物まとめてバスに乗れ!」
「長谷川。ちょっとこい。話がある」
「なんですか?」
「長谷川。明日の試合には来なくていい。そのかわり、南第一の試合を見に行け」
「いいですけど・・なんでですか?」
「南第一には練習試合では勝った。だが南第一のエースは出てないんだ」
「名前は?」
「同じ1年の坂本」
「そいつなら知ってます。全国二回戦負けだけど全国ではなかなか良いPGです」
「そうか。そいつにはお前がマッチアップしてもらう」
「・・・」
「じゃあ頼むぞ」
「わかりました」
バスの中で隣が彰だったから何を話したか訊いてみたけど教えてくれなかった。「教えない」だってさ。彰は次の試合には来なかった。部長も監督もなにも言わないし。それでもうちは彰の予想通り南第二には100点ゲームで勝った。