幸福への道
幸福への道
『明日の医術(初版)第二編』昭和17(1942)年9月28日発行
凡そ如何なる人間と雖も幸福を希はぬ者は一人もあるまい。全く幸福こそ、人間
の欲求としての最大のものであり、最後の目標でもあらう。そうして幸福の最大条件
としては、何といつても病気の無い人間、病人の無い家庭之以外にないであらう事
は余りに明白である。然し乍ら、今日迄の世界に於て、全く無病たり得る事は不可
能であるばかりでなく、現在健康であつても、何時如何なる場合に何等かの病気が
発生するかも知れないといふ不安は何人と雖も抱いてゐるのである。而も、偶々病
気に罹るとして、それが容易に治癒すべきものであるか、或は、容易に治癒し難いも
のであるかといふ事も全然予測がつかないのであるから、実に不安此上もないので
ある。其様な理由によつて、順調な境遇にある人も成功者になつた人としても病気
に対する不安がある為、真の幸福に浸り得られないといふのが事実である。
そうして、凡ゆる不幸の根源は病気である事は曩に再三説いた通りである。貯蓄
の目的の大方は、罹病した時の用意であり、健康保険も生命保険もそれが為であ
る。孤児院も養老院も共済会も方面事業や、凡ゆる社会事業も、それが為であら
う。
従而、国家が如何なる理想的政治を行ふも人間の病患を解決なし得ない限り、国
民の真の幸福はあり得ないのである。洵に健康こそ幸福の根本であり、否幸福の全
部であるといつても可いであらう。然るに今日迄、根本的に病患の解決をなし得る医
術も方法も、全然無かつた事である。
私は、大言壮語するのではない。私の創成した日本医術と健康法によれば、人間
をして病患の不安から解放なし得る事は、既に述べた通りである。故に私は、私の
医術を知る人にして初めて幸福人となり得るといふ事を断言するのである。何千年
以来、人類が要望して熄(や)まなかつた所の“幸福への道”は、既に拓かれたので
ある。