最近テレビなどでも目にしますので、もしかしたらご存じかもしれませんが、ピーマンズスタンダードという芸人のネタにロシアの軍隊格闘技の「システマ」を使ったものがあります。
動画では冗談にしか見えないですが 笑。
攻撃を受けた方が行っているのがシステマの奥義、その名も「バーストブリージング」です。
「バーストブリージング」は肉体的、精神的に強力なストレスがかかった時に使う「回復」の呼吸法になります。
「システマ」はソ連時代のスターリンのボディガードであったミハイル・リャブコが創設し、ロシア軍の特殊部隊にも採用された訓練法で、長く秘密にされていましたが、ソ連崩壊後、海を渡ってアメリカやカナダでも広がり、最近では日本でも指導する場所が増えています。
戦場では想定外のことが起こりますので、あらゆる状況や突発的な出来事に対しても、
キープ・カーム(穏やか)という無風状態の海のような静かな精神状態を維持するメソッドです。
そもそもシステマでは、人間が本来持っている「恐怖心」を否定せず認めます。
避けるべきは「恐怖心」によって心身が緊張して、本来持っている能力が発揮できなくなることです。私たちは脳の仕組みとして、外からの情報を受けると、まずは過去の記憶を検索します。
過去の記憶から検索して、その情報が肉体的にも精神的にも「痛み」を想起させるものであった場合、「恐怖心」を作りだして、筋肉を緊張させるように身体へと指令を送ります。
指令を受けた身体は筋肉を緊張させ、筋肉は指令を完了したことを報告するメッセージを脳に繰り返します。
ここからが脳の不思議なところですが、筋肉の緊張が正しく実行されたメッセージを受け止めると、もともと自分が作り出したものにも関わらず、筋肉の緊張のメッセージを受け取った脳は自分自身で「恐怖心」を増強させて、さらに筋肉へ緊張を促す指令を送りだします。
そして、その指令を受けた筋肉が緊張を実行し…、というループが続いて、最終的にはパニック状態に至ってしまうわけです。
これでは、能力を発揮するどころではなくなります。では、このサイクルを断ち切るためにはどうすればいいのか?
一つは気功のような脳に対するアプローチして、アンカー、トリガーの付け替えや書き換えで脳が過去の記憶を検索しても、そもそも「恐怖心」が発火しないようにする手法があります。
僕のオリジナル気功技術「クロス」の2つ目の使い方はその手法です。
ただ、物理的な攻撃による痛みや暗闇に対する「恐怖心」のような人間が根源的に持っているものに対しての書き換えはかなり難しいですし、それはもはや洗脳の領域です。
そこで「システマ」では「筋肉をリラックスさせる」ことで、身体から脳への緊張のメッセージをストップして、恐怖心と緊張のループを断ち切るメソッドを採用します。
まさに逆転の発想ですが、そこで最重要とされているのが「呼吸」です。
ご存じのように「システマ」に限らず、気功でもヨガでも呼吸(システマでは「ブリージング」と言います)を重要としていますが、では、なぜこれほどまでに呼吸が重要視されるのでしょうか?
それは、呼吸だけがもつある特徴に秘密があります。
呼吸は生命維持に不可欠にして、唯一、意識的にコントロールできる運動ですが、呼吸は神経系を通して循環器系や消化器系といったさまざまな身体システムに関わっていますので、逆に考えれば、呼吸を通じて本来ならコントロールできない身体システムにアプローチできるわけです。
例えば身体が活動するときには、自律神経の交感神経が優位になります。
それに伴って心拍数は上がり、筋肉に張りが生まれ、血管が収縮。胃腸の動きは低下して、意識はさえて活動に適した状態、つまり戦闘態勢に入ります。
そして、交感神経は息を吸う動きに連動しているわけです。
逆にリラックスするときは、副交感神経が優位になります。そうすると逆に筋肉は緩み、消化器官が動き出して、眠気が起こり、心身を休める状態となります。副交感神経は息を吐く動きに連動しています。
ただ、交感神経が優位な状態が続くと、常にアクセルを踏んでいる状態になるので、人間は疲弊して視野が狭くなってパフォーマンスが下がります。
ヨガの成瀬先生も合気の藤平先生も身体意識の高岡先生も呼吸、特に吐く(吸気)を重要視されています。
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脳、身体、ともに最高のパフォーマンスができるのは、活性化した交感神経を副交感神経で包み込んでいるときです。
これがまさに、気功で言うところの変性意識に入って、抽象度が上がっている状態。別の表現をすると、ゾーンと呼ばれる状態です。
どうしても情報過多な現代人は、交感神経が優位になりがちですので、息を吐く。ということを心がけて行うだけで、ストレスからの緊張による、恐怖心や不安のループを手放すことができるわけです。
「ホントに息を吐くだけで、効果があるの?」
と思うかもしれませんが、このシンプルなメソッドは効果抜群です。このカラクリをきちんと知った上で吐くことを意識してみてください。
コツは口からゆっくりと吐くこと。そうすれば自然と鼻から息は入ってきますので、吐くことに意識を向ければ呼気に関してはそこまで意識する必要はありません。
身体の緊張が取れ、頭がクリアになって、心がカーム(穏やかな状態)になるのがわかると思います。
もちろん、気功を実践する際も効果的です。
完全な余談ですが、僕はフィールサイクルという自転車でのトレーニングを日課にしていて、
そのトレーニングの後半はもう限界の限界となって、足を止めたくなります。そこで、システマの「バーストブリージング」を実践すると、最後のひと伸びの粘りが変わります。
ただ、周りからは異様な光景だと思いますが 笑。
なんだかまとまらない感じですが、本日は以上です^ ^
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