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社会保障改革 厚労省原案 基調は「現状維持」
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社会保障改革に関する集中検討会議であいさつを終え、一礼する菅直人首相(左から2人目)と与謝野馨税・社会保障一体改革担当相(左端)ら=首相官邸で2011年5月12日午後8時00分、藤井太郎撮影
 税と社会保障の一体改革をめぐり、厚生労働省が12日に提出した改革原案は、「支え合い」などの理念先行型で具体性に欠ける。非正規雇用労働者の増加などへの対応として低所得者対策を前面に出したものの、財政難の折、基調は「現行制度の骨格維持」。一方、これに飽きたらない財務省は、東日本大震災後、給付抑制に傾く政府の議論に乗じ、さらに切り込む構えを見せる。それでも「現状維持」や「給付カット」中心では、「消費税増税を国民に理解してもらう」との一体改革のゴールは遠のくばかりだ。【鈴木直、赤間清広、山田夢留】

 ◇財務省は切り込む構え

 「共助を基礎に」「社会全体で支え、支えられる制度の構築」

 厚労省案には、震災後の雰囲気をとらえ、「共助」「支え合い」といった言葉がちりばめられている。ただ、共助とは保険料で支え合う、今の社会保険制度を指している言葉でもある。巨額の復興費を踏まえると、社会保障への大幅な税投入(公助)は難しい。共助の強調は、「税の投入を必要最小限にとどめる」(厚労省幹部)方針の裏返しだ。

 自助色の強い小泉政権の社会保障費削減路線に懲りた厚労省は、当初、一体改革を通じた消費税増税をテコに「社会保障機能強化」をもくろんだ。それが震災で一変、財政制約は強まる一方となっている。

 そこで、厚労省が苦肉の策として打ち出したのが、共助の強調だ。高所得者の負担を増やし、非正規労働者や生活保護受給者ら保険料を払えずに「社会保険制度の網の目」からこぼれる層を救う。低所得者の保険料軽減、世帯の社会保障負担に上限を設ける総合合算制度の創設などが当てはまる。

 揺らぐ国民皆保険の維持に精いっぱいの厚労省。だが、財政再建重視派はなお冷ややかだ。現状でも年金、高齢者医療、介護の「高齢者3経費」だけで年間10兆円が足りず、赤字国債で埋めている。

 毎年1兆円ずつ増える社会保障費にメスを入れないまま財政再建に踏み込めば、増税幅が膨らみ過ぎ、一体改革の実現性自体危うくなる--。そう考える財務省幹部は、「大胆に切り込まなければ、財政悪化は一層深刻化する」と突き放す。今後、年金支給開始年齢の引き上げなど「スリム化」を求める声が強まることも予想される。

 ◇民主内 煮詰まらない議論

 4月27日の民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」(会長・仙谷由人官房副長官)役員会。幹部の一人は居並ぶ厚労省幹部に「5月12日に省案を示してもいいが、党の議論が反映されていないことは分かっていますね」とクギを刺した。

 この時点で厚労省は、既に具体的な年金改革案をまとめつつあった。高所得者の基礎年金を減額し、低所得者の年金を確保する案など「支え合い」を具体化するものだった。

 だが、こうした案に関し民主党内の「負担増」を嫌う勢力とのすりあわせが進んでいない。党の議論が生煮えのまま公表すれば後に撤回に追い込まれかねない。

 結局、12日に公表された案は具体策を大幅に削った「概要版」となった。9日、大塚耕平副厚労相から説明を受けた玄葉光一郎政調会長ら政調幹部は、党内の反発を招きそうな記述がないことに一様に胸をなでおろした。

 とはいえ、党の年金改革案はいまだメドが立たない。政府は5月末に増税幅まで含めた改革案をまとめる意向なのに、党側ではマニフェストの具体化を巡る議論が始まったばかりだ。

 「今日、厚労省案が出るが、震災があって(党の案が)間に合わなかった。必ず追いついて、追い越して、月末までに見解を出したい」。12日の党調査会総会で、小沢鋭仁会長代理はそう強調した。しかし、実務を担う大串博志事務局長は自身のブログで「あっさりした党内議論にならないことは明らか」と懸念している。

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