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荒れ模様の東電会見 混乱、糾弾、オープン化の限界も
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東京電力で開かれた統合本部の会見では質問の挙手が続いた=8日午後、東京・内幸町(飯田英男撮影)(写真:産経新聞)
 福島第1原子力発電所について東京電力で開かれる記者会見には連日、新聞、テレビから雑誌やフリー、インターネット媒体など多くの顔ぶれが集う。民主党が進める「記者会見の開放」の影響で原則誰でも参加できるからだ。会見のネット中継など存在価値を示す媒体もある一方、会見が混乱したり、糾弾の場と化したりする場面も少なくない。

 東電や原子力安全・保安院など関係機関が一堂に会した統合本部の会見では“出入り禁止”も出てくるなど、「オープン会見」の限界や弊害も見え始めた。

 ▼脈絡なき難詰

 「はっきり答えてください! 私が東電からお金もらったことありましたか!」

 東電で開催される会見は原発の対応や技術的質問に限らず、東電や政府の姿勢や、記者会見のあり方を問う場面も多い。しかし、この男性はインターネット媒体で自分を「総会屋の卵」などと書かれたとして激怒。会見本来の流れとは脈絡なく質問を始めた。東電は当惑したが、この男性はヒートアップしていった。

 「今、私について聞いているんですよ! 私を『東電の犬』などと勝手に書いている。私と何か取引ありましたか! あるのか、ないのか。ないですよね! ないならないってはっきり言ってください!」

 ▼タレントの姿も

 会見の模様はネット動画配信業者「ニコニコ動画」などが生中継。フリージャーナリストの江川紹子氏らの姿もみられる。

 「東電会見!! とうとう行っちゃいましたよ」

 こうブログで書いたのは若手漫才タレント。ブログには針金を折り曲げて作った東電幹部らの似顔絵を掲載、「指名に偏りがあるように思う。どうお考えでしょうか?」と会見で追及したことが記されている。

 このほか、「平等党報道部」「市民記者」…。あらゆる肩書が飛び交う会見は連日長時間に及んだ。

 ▼居丈高さ際立つ

 事故の重大性もあり、声を荒らげての質問もしばしば。「死ねってのかよ、おい!」と迫った全国紙記者もいた。質問か挑発か、あるいは糾弾か難癖か判然としない質問も目立つ。

 --「国の支援を受け、補償する話があるが、それはわれわれの税金から出る話だ。杜撰(ずさん)な安全管理の東電の尻拭いをなぜ国民がしないといけないのか」

 「支援というか、国と協議したい」

 --「裏で(すでに国と)取引ができているのではないか。おわびのTVコマーシャルの金があったら補償に回すべきではないか」

 「補償には誠実に対応したい」

 --「TVコマーシャル打ってる場合かと聞いている」

 「全体の合理化が不可欠。その中で考えたい」

 --「ほとぼりが冷めたら民放を使って原発はエコな、クリーンなエネルギーだというのか」

 聞き手の居丈高さが際だつ場面も少なくない。

 ▼事前登録制に

 先月25日以降の統合会見は事前登録制となり、内実ある活動実績などの要件を参加者に求めている。質問は簡潔にまとめるように促したり、脈絡なく会見をかき回したりした場合、マイクを取り上げたり、退場を求める措置も始めた。

 “不規則発言”を繰り返し、統合本部の会見に“出入り禁止”となった男性は「事故以降、既存のメディアが落ち着いて質問しているのが不思議で仕方なかった。私の質問に『自分が主役になったつもりか』などと批判も受けたが、自分は自分のやり方で斬り込んできたつもり。出入り禁止は納得できない」と話した。

     ◇

 ■ジャーナリストの門田隆将氏の話「原発の問題は、津波の想定を誤った東電に非がある明らかな人災。被災者の今の暮らしや思いを考えれば会見は国民の怒りを反映するものだ。反核団体が運動の論理を持ち込む恐れがあったり、エキセントリックな光景が混じっているからといって、まともな質問が制約される状況とまではいえず、基本的に容認すべきだ。既存メディアが会見の正しいあり方を説くことには大マスコミのおごりを感じる」

 ■八木秀次高崎経済大学教授の話「記者クラブに問題なしとはしない。東電の責任もある。ただ質問に『聞けばいいというものではない』と不愉快になることがしばしばだ。相手をつるし上げ、黙らせ、謝らせるのが会見の使命ではないのに、会見を見ていると、まるで市民の名のもと、相手に反論を許さない裁き『人民裁判』同然の光景に出くわす。参加機会が広がって一定のメリットはあったのだろうが、無原則な開放がよかったとは思わないし、検証が必要だ」

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