わたしは、小さい…
「ちっちゃいね。守ってあげたくなる…」
って、頭をなでなでしてくれる
みんな、優しくしてくれる
みーんな、優しくしてくれる

空っぽで、何にも感じないと思った心にも
「守ってあげたくなる…」は沁みる

こんなことしてちゃいけない…と思ってた
壊れる…って
でも、暗い夜に
「守ってあげたい」って言って欲しくて
「塾に行ってくるね。今日は残って補習も受けてくる」って嘘ついて出かける

最初は、数えてた
何人の人が
「ちっちゃいね。守ってあげたくなる」って
言ってくれるかな…と思って

もう、数えられなくなった
顔も
名前も
どんな車だったかも
覚えてない

苦しくない時間
誰からも
「かわいそう」って言われない時間
暗い夜がいつまでも続けばいいと思った

16歳になったばかりで
わたしは
「もう、ずっと暗い夜にいたい」
と思った

明る過ぎる学校
明る過ぎる昼間には
わたしの居場所はないと思った
母の死で
わたしは
壊れていった