別に僕だってあんなに暗い記事を書きたい訳じゃない。
そりゃいくらか留学に対して考えることはあるけれど、毎度のようにあんな暗い記事が続くようでは僕自身でさえこのブログのことが嫌いになりそうだ。というわけで、楽しい記事を書こう。

アメリカに留学して三週間が経った。学校が始まって二週間が経った。
今思い返せば恐ろしく早く時間が過ぎたように思える。どんなことがあったか思い出す作業だけでも半日はかかりそうなくらい、色んなことがあった。もちろんうんざりすることもあったけれど、相対して楽しい気分でこの三週間を過ごしてこれたように思う。

僕が通う学校というのはすなわち、語学学校のことである。
語学学校で行われる授業は全て英語についてだ。リーディング、ライティング、リスニング、グラマー。この四つの授業を受ける。そのため、生徒は全て、英語が第二言語である者が集まる。大体が、僕たち日本人、中国人、そしてサウジアラビア人でクラスは構成される。

今回はそのサウジアラビア人たちについて語る。
日本語というのはとても便利だ。誰にとっても、よくわからない日本人に「サウジアラビア人について語ろうと思う」と言われていい気分になる人はいないだろうからね。

もちろん、僕の知っているサウジアラビア人についてだ。
そう、オーマー君。(19歳)

彼とはグラマーの授業で仲良くなった。彼が教科書を忘れたから僕が見せてあげたのだ。それからというもの、彼は僕の隣の席に座るようになった。そしてつい最近僕たちは二人で映画を見にでかけた。ごく自然の流れだった。

彼はパイロットになりたい、という。18歳で単身アメリカに留学し、語学学校に通ってもうすぐ一年が経つ。いつも学校にはスケートボードに乗ってきて、首には必ず水色のヘッドホンをかけている。口髭がいつも綺麗にはえそろっている男である。ポロシャツが大好きな男だ。

そんな彼から影響を受けたこと。授業に対する積極性かな。
例えば、先生が答え合わせをするときに、「これわかる人?」とクラス全体に声をかけるときには必ずといっていいほど彼は手を挙げる。いや、むしろ半ばクイ気味に。手を挙げるより先に声が出てることの方が多いくらいだ。そして見事間違える
または、先生が一通り解説が終わったあとに、「何か質問ある人?」とクラス全体に声をかける。
日本ではこのフレーズほど儀式的なものはない
「何か質問ある人?」というフレーズは日本では実質的にほとんど意味をなさない。むしろ、先に進むよ、という合図に他ならない。なぜならば、誰も手を挙げないからだ。教師自体も、生徒の方を見向きもしない場合だってある。
それに対して、オーマーは結構な頻度で質問をする。僕にはなぜ彼がそんなことで疑問に思うのかわからないことの方が多いのだが、質問をすること自体、ある意味僕より理解度が高いような気がしてならない。

実のところ、これまで述べてきた出来事は、オーマーだけに限らず、クラスにいる他のサウジアラビア人にも当てはまることだ。僕のクラスでは、日本人中国人は沈黙し、サウジアラビアの独特のイントネーションが支配する。
サウジアラビア人が積極的だ、といいきるには、もちろんサンプルが少ないのだけれど、それでも彼らは僕らと明らかに授業に対する姿勢が違う。先生と積極的にやりとりをするし、ずばずばっと物事を述べる。それが正解であろうと、不正解であろうと。

なんだか見習わなきゃいけないな、と思い、せめてアジア人の中では一番発言できるやつになろうと、思っている僕である。

ただ、なかなか不思議なやつであることも確かである。オーマー君。
彼と映画に行ったのは彼が誘ってくれたからだ。
見始めるとき彼は、僕にこういった。
「間違いなく面白いよこれ」

そして、約二時間の映画が終わり、エンドロールが流れた瞬間、彼は僕に向かって
boring. (退屈だね)
と言ってのけた。
その潔さに僕は思わず爆笑してしまった。その後も彼はニコニコしながらboring boring boring ♩とつぶやいていた。

彼が自国の宗教的な話をしているときのことだ。あまり詳しくは知らないけれど、なんだかサウジアラビアの女性は婚前交渉がだめだとか、なんかそんな話をしてきて、結婚した夫の前でしか、露出することができないそうな、なんだか、大変だな~と思って聞いていたその瞬間、
Oh, She is very beautiful. (あの子めっちゃかわいい)」
とオーマーが見た先にはパイオツカイデーのパツキンのチャンネーがいたのであった。
とんだ思春期野郎である。

ともすれば、今日ふと彼の姿を見たのだが、彼は「プレイルーム」と言われるお祈り専用の部屋でしっかりと目を閉じて、お祈りをしていた。
僕はまったく宗教的なものは無いから、やはり本気で信じているひとは本気で信じているんだな、と半ばアホなことを感じてしまった。世界は本当に広くて、色んな国の人がいるのだな、と思ったり。

それでも数少ない友だちができたことは僕にとってとても嬉しいことだったし、これからも彼と仲良く付き合っていけたらいいな、と思う。話す言語が英語なために、全然面白い会話が出来ないのがとても悔しいのだが、それでも彼といると楽しい。
とりわけ、僕はそんな感じで外国人と付き合っている、ということでした。おやすみ。