日本も捨てたもんじゃないのである。とても良い国だ。
僕はこの国で何度も貴重なものを落とし、失くしてきたが、そのほとんどのケースにおいて、それらは僕の手元に返ってきた。なんて良い国なんだろうか。

先ほど、昨夜ブックオフで購入した本四冊が手元に戻ってきた。
バイト帰りにブックオフに寄って本を買った後に、UFJのATMに寄って、家に帰ったあとに本が無いことに気づいた。「あー、UFJに本忘れてきた」とんでもないボケボケである。
きっと僕はあのとき極限に疲れていて、ATMにおいて「お手数ですが、最初からやり直してください」のアナウンスを何度も流した気がする。(あれって並んでるときにやられるとイラってしちゃうよね)。
それにしても、さすがに買った直後の本を忘れてくるだろうか?そんな人間がいたらぜひ合ってみたいものである。僕である。
気づいたときにはもう三時間以上経過していた頃だったし、ATMはもうしまっている時間だった。たった1700円ほどではあったが、結局のところそれならば、1700円そのまま落とした方がましである。なぜならば、僕はその四冊に込めた期待も同時に落としているからだ。
本屋では結構長居する僕。本選びが単純に好きなのだ。タイトルを見るのだけでも十分に楽しめる。特にインチキくさい自己啓発本のタイトルとか、新書のタイトルは結構面白いものが多い。それでも、そのインチキをかきわけて、「これだ!」といった本を手に取ったときの期待感というものはなかなかのものがある。小説ならば、カフェとかでゆっくりおしゃれに読んでみようかな、みたいな想像も膨らむし、自己啓発系ならば、自分がこの本をきっかけに何かを変えたい期待が膨らむ。
昨日僕が購入したその四冊はまさにそういったものだったのだ。
金額は1700円だが、僕の思いはそれ以上のもので、単純に1700円無くす以上の落胆が僕にはあった。

しかしながら、それらの本は確実に盗まれてると踏んでダメ元でさきほどATMに寄ってみたら、なんともあっけなく、僕の本はそのままATMに置いてあったままだった。まさかの宵越しである。

この国はなんて素晴らしい国なのだろうか、と思った。
この国にジャイアニズムは存在しないのだ。



僕は最近、パスポートを無くしたのだ。留学直前にも関わらず。
だけど、それもあっけなく翌日に手元に帰ってきた。

これはまた、遠い遥か昔の話だが、スロット店において携帯電話を失くしたこともある。さすがにこれは確実に終わったと思った。なんといったって、あそこは日本のスラム街である。とんでもない場所である。「あーこれはもうすでに、携帯内のクレジット使いまくられ、電話かけられまくられ、大変だ」。ただでさえ負けていた日だったので、気分は最悪である。

だけれど、あっけなく受付に届けられていた。スロット店にもまともな人間はいるのだ。前言撤回。

どうしてこの国はこんなにあったかいのだろう。モラルに溢れているのだろう。
「他人のものは他人のもの」
一見、当たり前のことではあるが、当たり前のことを当たり前にこなすこの国はとても素晴らしいと思う。僕は日本が大好きだ。

海外留学したことのある友達からの話によると、向こうでは、落とし物があったら、「ラッキー」ぐらいの感覚で平気で盗んでしまうことが多いらしい。だから、向こうでものを失くしたら、ほぼ確実にアウトなのだと。

物を失くして、それがちゃんと届けられる、という経験をしてみると、今度は自分が恩返ししてあげたくなる気持ちになるのも当然だ。僕が落としものを見つけたときには、しっかりと持ち主に届けてあげたい。こうやって連鎖していくのが一番良いことだと思う。

当たり前のことを当たり前のようにこなす。

海外留学したら、いろんな壁に打ち当たるかもしれない。だけれど、僕は日本のこういったいいところをしっかり持ち込んで、世界にモラルの連鎖を起こすことができればな、なんてとてもかっこいいことを思っているとても気分のいい休日の朝でした。