ペーパー・ムーン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]/パラマウント ジャパン
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聖書を売り付けて小金を稼ぐ詐欺師のモーゼが、亡くなった知り合いの娘アディと出会う。彼は嫌々ながら彼女を親戚の家まで送り届ける事になったが、ペテンの相棒としてアディと旅を続けるうち、モーゼは父親めいた愛情を感じていく……。モノクロの映像が30年代の雰囲気を巧みに伝える、心温まるロード・ムービー。(allcinema ONLINE)




★二人のツンデレ関係がたまらない


何度みても飽きない映画。

そんな映画に出会えることは人生においてとても貴重なことです。

それが、ペーパー・ムーン。

1970年の作品。誰かのおすすめなくしてはきっと手に取ることはなかったでしょう。僕の中では、一番好きな映画といってもいいんじゃないかという作品。ぜひ、これを読んでくれた方は、一度見てほしいなと思います。


とはいうものの、今回なぜかまったく筆が進まないのです。

何を書けばいいのやら、わからず。

完璧すぎると書くことなくなるんでしょうか。

脚本は至ってシンプルですが、とてもよく考えられています。

どのシーンに至っても手を抜いているようなところは見られず、すべてのシーンに良さがあり、そして僕はそのどのシーンも好きなわけです。



この作品は、いわゆるロードムービー。

もともと父親が不明だった娘アディですが、いきなりこの女の子の母親の葬儀のシーンから始まります。

葬儀参列者はわずか四名ほど。アディはついに母親までも失ってしまいます。彼女のことは遠い町に住んでいる親戚の家が引き取ることになるそうです。葬儀参列者は近所の方なんでしょう。


そこへ、車にのって詐欺師のモーゼが現れます。

どうやらモーゼは、この母とは昔にバーで出会い、一度関係をもったらしいことが彼が参列するときにいうセリフから察しがつきます。

彼にとっては、ちょっとした挨拶程度だったはずですが、事態は彼の思わぬ方向へ。


モーゼが車で来ていることに気付いた参列者は、アディを親戚のおうちに送ってくれないかとモーゼに頼みます。当然嫌がるモーゼですが、行き先を聞かれ、答えた場所がなんとその親戚の家がある方向なのだから、断るに断れなくなってしまいます。

そうしてこの二人の旅が始まるのです。


僕はまずなにが好きかって、アディとモーゼの距離感が本当に絶妙なんです。

二人とも利害関係が一致していて、持ちつ持たれつの関係なのです。


どういうことかというと、アディのほうは、当然身寄りがないわけですから、モーゼの助けは必要なわけです。それに極めつけは、もしかしたらモーゼが父親なのではないかと思っているところ。実際に作品内で明らかにはされませんし、あごの形が似ているだけと語られるだけなのですが、ここが物語全体の雰囲気をよくするポイントとして十分な効果を発揮していると思うんですよね。それに、実はこの二人のキャスト。実際に親子での出演だというのだから。。


モーゼの方はというと、詐欺を生業としていますが、アディがとても役立つことに気づきます。

聖書販売の詐欺をして、しかめ面をするようなお客さんでも、アディを娘としてコンビを組むと、「お嬢ちゃんかわいいね」みたいな感じで結構うまくいくのです。

それに、アディと出会ってすぐ、アディをだしに彼女のみえないところで、200ドル詐欺るのですが、それは実はばれていて、200ドルをアディに返さなくてはいけないという縛りがあります。


そうです。

なぜ距離感が絶妙かって、この縛りがあるからなんですよ。

モーゼの単なる厚意だけの関係ではないってところがまた一段と面白いんですよ。

実はこの縛りみたいなものはラストシーンにも効いてくるわけですよね。

見た人にしかわかりませんが、その縛りってのは、最後の下り坂で車が動いてしまうシーン。

車が勝手に動いちゃしょうがない乗るか。ってのが縛りです。


いや~実にツンデレ。

もう二人の関係はツンデレだ!たまんないね!


最初はビジネスパートナーとしか思っていなかったモーゼですが、次第にアディに愛着がわいていくのもいいです。

一番好きなシーンはモーゼが女関係で痛い目みたあとにアディにセリフを言うシーン。

「いいか、大きくなっても男をだますような女にはなるなよ」


たまらなくいいシーンです。

ビジネスパートナーにこんなこと言いますか?

二人がだんだんと本当の親子のようにみえてくるような描き方ってのが本当に好きですね。



本当にどのシーンも完璧で、好きの度合いは別にしても、この作品が面白くないっていう人はいないと思うんです。

モーゼの詐欺師とはいえど、結構優しいやつなんだなってのは詐欺の手口でも見て取れますし、

そしてアディのモーゼへの気持ち。鏡を見て、ポージング。ちょっと背伸びしたいお年頃。

僕はもう二人のキャラクターを愛してやまないですよ。