長らくご無沙汰しております。桜の時期も過ぎ、そろそろ暑さを感じつつも夜はまだ冷えたりもしますので、皆様体調にはお気を付け下さいませ。
さて今回は、一風変わった切り口かつ、一癖も二癖もある少年漫画『暗号学園のいろは』(西尾維新さん:原作、岩崎優次さん:作画)についての雑感です。

現代日本。いつ来るとも知れない大戦に備え、兵士だけではなく銃後(一般市民)も暗号を解くことで戦力に、との考えの元設立された暗号学園に入学した主人公・いろは坂いろは。

一見女生徒のような可愛らしい容姿である彼は、兵器メーカーの跡取り娘である東洲斎享楽(とうしゅうさい・きょら)をはじめとした、暗号に精通したクラスメイト達(彼以外は全員女子)に圧倒されつつも、別クラスの洞ヶ峠凍(ほらがとうげ・こごえ)と出会って手に入れた眼鏡兵器や、持ち前の朗らかさと内に秘めた強い心で次々に暗号バトルへ挑んでゆき、同時に彼女達と交流を深めていきます。

戦闘アクションはほぼありませんが、頻繁に出てくる決めポーズやダンスアクションがあったりしますので、話は『暗号』が主体と言っても画面内の動きは結構派手です。
登場する暗号はどれもこれも難解ですが、解説やヒントもありますので、ほとんどは答えが分かるようになっています。コミックスでは東洲斎さんも補足で解説してくれていて暗号にまつわる雑学も教えてくれるので、そこも楽しいところですね。
私はすぐに解説を読んでしまうのですが、敢えて挑戦してみるのも一興だと思います(笑)

また、頻繁に出てくる言葉遊びや、キャラクター達の特徴的すぎる名前も面白いところです。あまりにも人間味が無さ過ぎて、もはや名前ではなく単なる個人識別記号に思えてきますが、それもまた暗号っぽいなぁと思います。
そもそも舞台が「暗号学園」というきな臭い場所であることを考えれば本名である可能性も低そうですし、名前らしさは必要無い、という見方も出来ますね。

 

ストーリーは基本的に明るめの軽い雰囲気で進んでいくのですが、根底では『戦争』という重いものを扱っているので、シリアスな部分も時折出てきます。謎だらけの登場人物達の過去を含め、今後がとても気になります。

残念ながら、連載は終了してしまっておりまして、後はコミックス最終巻の発売を待つのみとなっております。
コミックスで読んでいる私としましては、まだまだ話が広がりそうだったこともあり、どこかで復活してくれないかなぁと期待している次第です。

お久し振りです。日中はまだ少し暑かったりもしますが、朝晩はすっかり涼しくなってきましたね。

さて今回は、原作漫画もそのドラマも大好評だった映画『ミステリと言う勿れ』(田村由美さん:原作)についての雑感です。

 

独特の言動や風貌が特徴的な一風変わった大学生・久能整(くのう・ととのう)は、展覧会を見るために出かけた先の広島で、数少ない友人の一人である犬堂我路(いぬどう・がろ)の知人であるという女子高生・狩集汐路(かりあつまり・しおじ)から半ば無理矢理依頼され、狩集家の遺産相続争いに巻き込まれることになります。

まるでミステリ小説のような舞台に、反目する相続候補者達、誰かの意図を感じる事故など、不穏な状況に戸惑いつつも様々な謎に挑んでいく整達。果たして事件はどんな結末を迎えるのでしょうか。

 

ドラマと変わらない雰囲気で、でも旅先の事件ということで少し特別感もありつつ、楽しく観ることが出来ました。

マイペースな整くんと、そんな彼のペースを乱す汐路ちゃんはなかなか良いコンビに見えます。知り合いの知り合いという希薄な関係性のはずですが、お互いに遠慮無く言いたいことを言い合うところが小気味良いですね。

 

遺産相続ミステリ(?)ではちょくちょく見る謎解きもありつつ、遺産相続自体ではなくもっと別の事柄が事件の核である、ということが解っていくのも大変面白かったです。

一つ間違えば命に係わる事故が起こったり、過去には陰惨な事件もあったりしますが、最後にはすっきりと終わるのもこの作品の良いところではないでしょうか。

 

タイトルには反しますが(笑)やっぱり良質なミステリ映画だと思います。

また、ミステリだけでなく、整君の数々の名言やコミカルな行動、謎多き狩集家の人々の絆も見どころですね。

シリーズをご存知の方は勿論、そうでない方でも楽しめる作品です。

 

またまた久々の更新となってしまいました…!
間が空きすぎて記事のネタ自体が大分古くなってしまっているのですが、もうそこはあまり気にせずに書くことにしました(苦笑)
という訳で今回は、もう公開が終わって久しい映画『かがみの孤城』(辻村深月さん:原作)についての雑感です。

不登校になってしまっていた中学生の少女・こころはある日突然、光り始めた自室の鏡の中へ迷い込んでしまいます。
鏡を出た先は、狼の面を被った少女が取り仕切り、こころと似た境遇にある少年少女達が集う西洋風のお城でした。
その城の中にはどんな願いも叶えられる『願いの鍵』があり、様々なルールの元、それを探すことを目的とする集いではありましたが、激しく競争することも無く、皆で協力しつつ交流を深めていきます。

現代日本を舞台としたファンタジーかつ、繊細な子供達を描いたジュブナイル的な作品ですが、それだけではなく孤城自体の謎や、こころ達がいる元の世界についての謎など、ミステリー要素もあります。
最初は探り探り、皆が皆、お互いに深入りすることも無く過ごしていきますが、やがて事件が起こったり問題に直面したりして、それを解決する過程などで友情が育まれていく様は、ジュブナイル作品の見どころだと思います。

全体的に穏やかで優しい空気が流れていますが、子供達が抱える問題については深刻なものもあり、学生の頃に人間関係で問題を抱えたことのある方なら共感する部分も多々あるのではないでしょうか。
繊細でも柔軟で、時に意外な強さを見せる彼らがどのような結末を迎えるのか、是非確かめてみて下さい。