あなたは 海派?山派?

 

そんな質問に、ある時期までは迷わず海派と言っていた。

その頃は別段海に思い入れがあったわけではないけれど、

山に対する否定が強かったからだ。

 

山に登って何が楽しいのだろう?

疲れるだけではないかと。

実際遠足などで山へ登った時は苦痛でしかなかった。

 

ある時、家族旅行で長野県の千畳敷カールへ行った。

千畳敷カールは宝剣岳(2931m)の直下にある氷河によって

作られた特殊な地形で、標高は2600m、高山植物の宝庫でもある。

千畳敷カールへはロープウェイが整備されているため、気軽に高山が楽しめる

人気観光地だ。

家族旅行の計画は母親が立てるため、ただ連れていかれたわけだが、

2600mの地に立っても別段思うことはなかった。

見下ろす景色はよいといえばよいが、高いなぁ程度だ。

高山植物にも興味は無いが、カール内を歩くのがコースなのでトコトコついてゆく。

ここは宝剣岳やその先の木曾駒ケ岳(2956m)へのと登山入り口にもなっているため、

途中、登山への分かれ道がある。その道の先を見ると、そこにはそびえる壁。

ここを登るとは、正気とは思えんなとしみじみ思い、改めて山なんて登るものではない

と確信し旅行を終えた。この時、後年、ここがお気に入りの場所になるとは思ってもいなかった。

 

そして数年後、運命(大げさ)の立山に行くことになった。

 

                                 2へ続く