先生は「ここまで、タイで生活するために必要な言葉についてお話ししました。
あとは現地で勉強してください。」
「先生、もう終わりですか?数字とかは教えていただけないのですか?」
「タイ語のイントネーションは、ここでは難しいです。
『習うよりな・れ・ろ』です。」
(ええかげんな先生やな)
「それと現地に行ったら『日本語を話すタイ人』には気を付けてください。」
「私の友人で、危険な目にあった人がいました。」
「飛行機が到着し、その友人は到着ロビーに降り立ったのですが、私たち迎えの
人間が到着するより先に着いてしまったのです。」
その時見知らぬタイ人から『待ってました○○さんですね。さあ、車に乗ってください』と言われ、
そのまま車に乗り込みました。
その車には3人のタイ人が乗っており、遠くのレストランまで連れて行かれました。
散々飲み食いしたあと、法外な食事代を払わされ、さらに汚いホテルに連れて行かされ解放されたそうです。
そのホテルから警察に電話があり、私たちもそこに向かい、無事合流しました。」
「先生、そのタイ人は、なぜ名前がわかったのですか?」
「はい。スーツケースに貼ってあったローマ字の名前を読んで、声をかけたのです。
ですから、スーツケースに名前を書くのは危険です、
書くのであれば、漢字にしてください。」
(なるほど、「海外旅行=ローマ字」という固定概念はかえって危険なこともあるのやな)
タイ語はほとんど覚えられなかったが、この日の授業で一番勉強になったのは「スーツケースに名前を書くな」
ということだった。
この先生、ええかげんやと思っていたが、大事なことだけは妙にリアルだった。
続く