噂話し、お好きですか?
私は 好きではありません。
何でも 自分で見て聞いた事でないと 信じません。


まだ 高校生だった時、新卒の男の先生が赴任して来ました。

女子校ですから ジャニーズ系でなくても あっという間に人気者になってモテモテです。

その先生は 私のクラスの授業を受け持ち、友達はすっかり大ファンに。

そうなると 先生の誕生日や好きな食べ物や好きな色、とにかく知りたくなるのが女子。
きっかけを見つけて 仲良くなりたかったり プレゼントをしたりしたいんですね。

あいにく私は みんなとは違って全然興味が湧かず、クールにそんな状況を見ていました。

ある時友達から 先生にあれこれ聞いてきてほしいと頼まれて、うん いいよ、と みんなが遠巻きに眺めては キャーキャー言っているなか 先生のもとへせっせと通うようになりました。

そんなこんなしてるうちに、気がついたら 毎日毎晩 先生と電話をする仲になっていました。

同じテレビを見ながら喋ったり、学校での出来事を報告しあったり、相談に乗ってくれたり…。

とても 熱い先生でした。先日も書きましたが、“熱い”方なんですね、何事にも。

今でいう 完全にうざいタイプでしょう。
だけど どんな時も真っ直ぐな方でよく私にも色んな事を諭して下さいました。

そんな毎日が楽しくて仕方なかった時、友達と電話の話しになって気付いたんです。

先生は 他の生徒や部活動の部員にはアパートの公衆電話の番号を教えていて、部屋にひいている電話番号を知っていてそこに電話しているのは私だけという事に。

その時には もうすでに一年位経ってました。

そして その頃から私の教室に毎朝すごい行列ができて、覗いては
「あの子ね。うそ~~!?」
とか
「あの子なら いいわ。諦めるから」
とか 口々に言ってました。

毎朝毎朝です。
動物園のおりのようになっていました。

女子校では憧れの先輩がいると このような状況がまれに起こります。

だから またそんなことなのかと思っていたら、友達が 真剣な顔で
「あんた ほんまに なんも知らんの…?
みんな あんたを見に来てるんやけど……。
先生と 噂になってるよ。」
と 教えてくれたんです。
寝耳に水とは まさにこのことです。

だけど、冷静に振り返ると廊下で会えば 耳元で喋ったり、からかいながら 体に触ったりしてたから、身から出た錆なのかも知れません。

その晩 電話でその噂について話し込みました。

そして やましい事はしてないんだから 堂々としてよう、ただ、いちゃつくのだけはやめようねって 決めました。

でも 噂は鎮まることもなく嫌になるほどの混乱ぶり。

ますますあらぬ噂まで飛び交うようになって、私達の関係までぎくしゃくし始めました。

そうしてる間に二年が経ち、先生は学校を辞めていきました。

最後の電話となった ある日、誤解が解けないもどかしさや、状況が悔しくて 哀しくて 先生に説得されながら 泣いていた時、一緒に見ていた歌番組で 安全地帯の フレンドという曲(友達のままでいようみたいな内容だったように思います)が流れてきました。

多分 その頃は先生が好きになってたんだと思います。
先生も 苦しいんだみたいな事を言ってました。

そうして 特別お別れの言葉もなく 遠い所に移動されました。

今では ある教育機関で大変立派な地位につかれているようです。

多分 熱いまま頑張っていることでしょう。

もしかすると 先生!って 連絡したら おぉ~!って 言ってくれるかも知れません。

でも 今は そのまま思い出にとっておきたいと思います。

お兄さんのような存在でした。
どんな事にも真剣に応えて下さり、どれほど心強い存在だったか。

何度となく試練にあい 辛くて 哀しかった時にどれだけ連絡したかったか。

本当に そんな信頼できる頼もしい存在でした。
本当に 何もやましいことはなかったんです。

仲良くし過ぎたのかも知れませんね。

でも あの噂さえなければ きっと今でも心の先生だったと思います。

根も葉もない噂をおもしろ可笑しくいう人もいますが、そんな経験があるから私は聞き流すことにしています。

お互いにいい関係なんだ、そう もっと信じきってたらまた違ってたのかな…。

だから 私は今もあまり人の噂は信じないし、信じた事だけを正しいとするのかも知れません。

何事も 最後は自分の目を信じたいと思います。