59 クレームを科学する | Love yourself and you will be loved

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What is essential is invisible to the eye.
2015年は、「心の断捨離!!」

サービス業にとって、もっとも避けたいのはクレームの発生。

ですが、もう、少し正確に言えば、クレームが発生し、それを顧客から訴えられること自体が怖いのではありません。

顧客がサービスに不満を持ち信頼をなくす→サービス利用を辞められ、結果その顧客を失う→場合によっては不評が他所にも広まり更に他の顧客の信頼を失う→売上が減る、という負のスパイラルが最も恐ろしいことだと言えるでしょう。

さらに、顧客が不満を持つとき、その気持ちをストレートにサービス提供者本人に伝えるというケースは、現実なかなか多くないと思います。

時々「サイレントクレーマーにはならないでください。ご不満はその場ではっきりとおっしゃってくれたほうが、双方にとってよい結果を生むのですから」という意見も聞きます。

それは、飲食とか物品を消費者に直接販売する単純なモデルで、関係が毎回単一取引で終結する場合なら、一理あるやもしれません。

ですが、提供するサービスがビジネス同士で交わされる無形のものであり、「ヒトとヒトとの関係」における「相手の人間性がより問われる」取引においては、よほどのことがない限り「なぜ不満なのか」を「本音」で伝えられることはなく、「気がついたら顧客を失っていた」となっていると思います。

サービスに対する不満、と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「サービスの質」でしょう。

そろそろ自分の職業を例に話しを進めたく思いますが、その場合だと「的確で明瞭、コミュニケーションを円滑に成立させる通訳ができているか」、になります。

ですが、質、というのは大前提であって、飲食で言えば味、物品であれば使用効果、の部分です。サービスの本質的なクオリティは、クレームを言われたところで提供者側も一晩で改善できるものでもありません。

相手のニーズを大きく下回る品質しか提供できないのであれば、運がよければ「切磋琢磨を続け、技術を向上させて、将来もう一度認め直していただく」ことになりますし、運が悪ければ「二度と使ってもらえない」になるでしょう。

私は長年企業の一員だったので、幸運にも外部同業者(フリーランス通訳者)を会社が雇うとき、どんな点を不満に思い再度お願いするのをやめてしまうのか、を雇う側の立場から見聞きすることができました。

もちろん、品質が悪かったから、という場合もあったのですが、それよりも更に顧客の印象を致命的に悪くしてしまっていたのは、「人間性」の部分でした。

あからさまなビジネスマナーの欠如はもちろんなのですが、それ以外にも、意外な落とし穴、というか、なかなかサービス提供者側が気がつかないような不満ポイントもありました。

ひとつ聞いた話ですと、企業の通訳手配担当者が、通訳者が会議の内容を事前に理解できるよう、会議出席者に頼んでブリーフィングの機会を設定しようとしました。

企業側は、親切心でわざわざ配慮してやってあげたことです。ところが、その連絡を受けた通訳者はメールで「事前ブリーフィングに出席する場合は7000円頂戴しますのでご了承下さい」と一言返事を送ってきたのだそうです。

確かに、通常エージェントを通す仕事の場合は、通訳者のブリーフィング出席料金が定められています。ですから、この通訳者が料金を請求するのは当然と考えたのも無理はないのです。

ですが、この案件は企業とその通訳者との初回の直接取引であり、その手配者は通常ブリーフィング料金たるものがあることさえも知らなかったのです。

結果として、雇用側が「してくださった」ことに対し、雇われる側が「させてやる」という極めて失礼な対応をした、という図式になってしまいました。

そして、手配担当者はその一件で通訳者への印象がとても悪くなってしまい、「おまけに」サービスの質も大したことなかった、として二度とその人を雇うことはありませんでした。

この話はずいぶん昔の出来事なのですが、本当に色々考えさせられました。

要因として、事前の意志疎通が十分でなかった、とかメールの書き方が高飛車だった、とかそもそもの相性、とか色々あると思うのですが。やはり、雇用する側にとって最もセンシティブな部分である「カネまわり」の部分は、サービス提供者側は、慎重すぎるほど慎重に応対すべきだと思います。

ありきたりな結論かも知れませんが、自分のサービス提供者、そしてサービス利用者両方の経験から言っても、顧客に不満を与えてしまうときには、必ず提供者側になんらかの「気の緩み」がある時。

逆に、たとえ品質の面でまだ改善の余地がある場合でも、その時持っている最善の力を発揮し、改善の努力を惜しまず、そして相手に誠意ある対応をすれば、大きな苦情が発生することはまずないと思います。


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