電車で
今朝、出張先に向かう電車の中で、私は席にすわって本を読んでいたのです。
そしたら、私の隣に腰をおろした女性が「すみません」と低い声で声をかけてきたのです。
「はい」
私はどこか駅の行き方でも聞かれるのかな?なんて思いながら顔を上げてその人の方に振り向きました。
しかしその人の顔を見た瞬間、私は「ぞぉっ..」としてしまったのです。
その女性は、青白く、ぎっと睨んで来るような恐ろしい顔つきを私に向けていたのです。 そして、再び低い声で「すみません」と言いました。
「はい」
私はあわてて目をそらしながら答えました。
その人は、「エステに、...電話したんですよ。」とまた低い声で言いました。 その言い方は、エステのサロンにものすごい恨みでもあるかのような言い方でした。
あ、これはどう考えても異常だと思って私は凍りつきました。
「エステに、...電話したんですよ。」 その女性はまたそれを繰り返しました。
「はい」
怖かったんです。 相手にならない方がいいんだろうか?どうしよう?っと一瞬思いました。 と同時に、「あ、この人かわいそうな人かもしれない。」っていう気持ちがぱっと湧いて、怖いけど相手になろう、聞いてあげようと思いました。
そして私はその人が何か言うのを凍りついたまま待ったのですが...
しばらく無言の状態が続いたあと、その人は席を立ってどこかへ消えて行きました。
私はその後、その人のことをずっと考えました。 自分が生身の人間の顔にぞっとしたということにもびっくりしました。 そういうのは、ホラー映画の中の話であって現実の世界で自分がそういうことを感じることがあろうとは思いませんでした。 見知らぬ人間を一目で震え上がらせるような顔に、いったいどのようにするとなってしまうものだろうかと思いました。
あの人、また別の車両で「すみません」と誰かに声をかけたのでしょうか...