「あなたが私を好きだった頃」 | シングルママと不登校児のまいにち

「あなたが私を好きだった頃」

「あなたが私を好きだった頃」 井形慶子 ポプラ社


以前、井形慶子さんのイギリスに関するエッセイを読んだことがあって、この人が書く恋愛エッセイというのがどんなものなのか興味があって読んでみました。 図書館で何ヶ月も予約待ちして...


↓ネタバレですよっ!!


なんていうか、タイトルからしてその恋がもう終わっていることは想像がつくのですが、私はきっと、井形さんという人がこうして文章にしたい程今だに想いを寄せる恋がどんなものだったのか、というところにすごく興味があったんだと思います。


内容は、半分は予想した通り、それまで経験したことのないような幸せな恋と、やがて訪れる別れを描いていました。 私にも井形さんと同じような経験があるので(というか多くの女性が経験しているのではないかと思う)、ものすごく感情移入して読みました。 


付き合っている彼からの電話が減って来た時の不安...。 今度どこそこへ行こうよと言っても、「忙しいから、いつ行けるか分からないなぁ。」なんて曖昧な答えを返されて、もしかして、彼の心はもう私から離れてしまっているのでは? そんな不安にさいなまれる日々。 もしかしてもうダメかも...と思いつつ、彼のことが好きで、ううん、そんなことない、大丈夫。 だってこの前はあんなに優しかったじゃない。 そんな考えが頭の中をぐるぐる回って、どこへもたどりつかない。


そんなつらい恋をしている彼女の気持ちが私には痛い程伝わってきました。


でもね、私が今思うのは、そういうふうに片方が不安に陥ったりするような恋はそもそもダメな恋なのです。もちろんそうなる前まではお互いに「こんな素晴らしい人にもう二度と会えないだろう」くらいに思っていたかもしれないのですが、結局は、soul mate ではなかったということだと思います。


エッセイの中で井形さんが自分の不安を彼に訴えた時、彼は「オレのことを信じてないのか。」と寂しそうにするというシーンがあります。 もし相手のことを本当に想っていたら、びっくりして「ごめん、そんなふうに不安にさせるつもりはなかったんだ。」と言うんじゃないかな。 そこでお互いにその先どうしたらいいか話し合えたら彼女の不安も解消したでしょう。


「オレのことを信じてないのか。」

もうこの時点でこの人は彼女のことを大切には思ってないことが明らかだなと思いました。 でもね、恋する彼女には分からないのです。 私にも覚えがあるから、感じているのに感じてないふりをしたことがあるから、それでも不安をかかえたまま付き合い続けた彼女の気持ちが分かります。


でも分からないのは、そのエッセイを書いている時点での井形さんの気持ちです。 「自分の過去の恋愛を書いた。」と言っていながら、ちっとも過去になっていないような気がしました。 このエッセイ、ラストが無いのです。 今でも、彼に愛されていると思いたい、井形さんの気持ちが、そのままラストを書かずに終わらせたのかなと思いました。


自分のありのままを出して、そのままを愛してくれる人(お互いに)。 そういう人が本当の愛を育める相手なんだと私は思いますよ...