ふうちゃん包丁を持ち出す
夕べ、またふうちゃんと倫太郎がケンカを始めました。 いつものことで、私は「嫌だなぁ。外でやってくれ。」と思いながらも口出しすまいと思ってだまって無視していました。
でもそのうち、怒ったふうちゃんが、台所から包丁を出して来たのです。
いくらなんでも無視しているわけにいきません。
そこで、あくまでも平常心を装って、二人の言い分を通訳してやることにしました。 倫太郎は包丁を見て私の隣に逃げて来ていました。 最初は倫太郎がふうちゃんが何をしたかというのを言い始めたので、「倫太郎はこれこれこうだって。ふうちゃんは、どうして怒っちゃったの?」という具合に聞きました。
ふうちゃんは最初包丁を持ったまま「知らない。」などと言ってまともに口をききませんでしたが、少し様子が落ち着いて来たようだったので、私が側まで立って行って、「それ、しまおうか。」と言ったら包丁は仕舞って別の部屋へ行ってしまいました。
私は恐怖だったであろう倫太郎をだまって抱きしめてやり、その後ふうちゃんのいる寝室へ行ってベッドでうつぶせになっているふうちゃんの背中をなでてやりました。
その時は何も言わなかったけれど、寝る時間になって、ふとんに入ってから、「おかあさん、眠りたくない。」と言うので、それからずっと話を聞いてやりました。
ふうちゃんにしても倫太郎にしても、言うことはすごく利己的で理不尽なことが多いのです。 「そんなことで不機嫌になられるこっちの身にもなってくれよ。」と言いたくなるような内容ですが、そんなことは言わずにただ聞いてやりました。
一日の終わりに、ただだまって子供の心のはけ口になってやる、というのは非常に疲れました。 それでなくても、携帯のことで長いこと話し合った後だったし。
しかし今朝になってみると、ああいうふうに、利己的で理不尽になってしまうのも、普段からやり場の無い怒りとか寂しさとかを感じているからではないかと思えて来ました。
やっぱり私のせいなのだと思うのです。今まで倫太郎のことで頭がいっぱいで、ふうちゃんの言うことが理不尽であればある程ふうちゃんを受容することが出来ず、ずっとこういうふうに話を聞いてやるということが出来ずにいたのだから。
おそらく、倫太郎も一時期そうだったように、心の中に嫌な気持ちがいっぱいに詰まっていて、本当は沢山あるはずの優しい気持ちが隅っこに追いやられているんだろうと思いました。 今どんなに間違ったことを言っていても、心の中にある嫌な気持ちを吐き出すことが出来れば子供が本来持っている優しさが出てくるのだと思います。
それまで、どんなに疲れても頑張らねばと思いました。