「親業」
「親業」 トマス・ゴードン著 近藤千恵訳 大和書房
この本は、ありがとうママさんのブログで紹介されていて知りました。そしてそれとほぼ同時にkoko-rinさんのコメントで親業訓練協会というのがあるのも知って、読んでみようと思ったのです。
私も子育てで行き詰まる度に、子育て関連の本を手に取って来たけれど、この本が今までで一番しっくり来ると思いました。
この本に書かれている親と子のコミュニケーション手法とは。
「能動的な聞き方」
子供が何か問題を抱えて訴えて来た時の話の聞き方。 まず子供の怒りや悲しみの感情を受け止めてあげることが最大のポイントで、相手にどんどん感情を吐露させていく。 自分の感情が相手に伝わったと分かり、安心した子供は自ら解決方法を模索する段階にまで入って行く。
「わたしメッセージ」
子供の行動を親が受容出来ない場合のメッセージの投げ方。 「わたし(親)」が主語になり、必ず「わたし」がそのことについてどう感じているかを話す。 これに対して使ってはいけないのが「あなたメッセージ」。 「あなた」が主語になり、(あなたが)「~しなさい。」「やめなさい。」「こうしたらどう?」などがこれに当たる。
「第3法」
親子が対立した時の問題の解決方法。 親と子の双方が納得出来る解決案を出し合い、とことん話し合う方法。 どちらか一方だけが譲歩することなく、双方が良いと思える方法を納得出来るまで探す。
「能動的な聞き方」については私は過去にCAPの講習会で習ったことがあったのですが、その時は、子供が外で何らかの被害に遭ったとか、友達にいじわるされたとか、緊急事態の時に親がどう子供の話を聞くかという内容であったので、私はこれは緊急事態の時のみ使うものかと思っていました。 でもこの本ではあらゆる場面でこの聞き方が有効であると書いてあって、そうか、どんな場面でも使って良いのだと気付かされました。
例えばこの本であげられている例では娘が父親に「ねえ、お父さん、小さい時女の子のどういうところが好きだった?」と聞く場面が上げられています。 特に緊急事態とは思えませんが、ここで父親(著者自身)は小さい頃どんな女の子が好きだったかを答える代わりに「男の子に好かれるには自分にはなにが必要か考えているみたいだね、違うかい?」と、娘の言外の言をくみとっています。 子供の言葉そのものにとらわれずに、子供が今どういう気持ちでいるのかに目を向けることはとても大切なんだなと思いました。
「わたしメッセージ」は「親の学校6分の1」で言うところの「お母さんは嬉しい」「お母さんは悲しい」に当たると思います。 これも私はどちらかというと「ここは誉めておきたい」とか「ここは重要」と思われる時に使うつもりでいたのですが、これも日常いたるところで使えると気付かされました。 例えば本にある例では、母親が掃除機をかけているのに子供がプラグを抜いてはいたずらをする。母親は急いでいる。母親「ママはいまとっても急いでいるのに、いちいち掃除をやめてはプラグを差し直さなきゃいけないと、本当に遅くなってしまうのよ。」と子供に言うという場面が書かれていました。 このような例で使えるということは、今まで私が「~しなさい。」と言っていた場面ではすべて「わたしメッセージ」が使えるということです。 これは使わない手はないなと思いました。
で、早速この本に書かれていることを試してみたのです。
私が本を読んでいると息子が「バレーボールやろうよ」と言って来ました。私はやりたくありません。
私:今お母さんは本を読みたいんだ。 だからバレーボールはやりたくないの。(わたしメッセージ)
息子:えー、だってつまんないんだもん。
私:つまんないんだ。(能動的聞き方)
息子:そう、つまんないの。 だからやろう。
私:うーん。
息子:やろうよー。
私:でも、お母さんは本を読みたいからバレーボールはやりたくないよ。
息子:だってつまんないからやろうやろう。
私:じゃあ、お母さんが本を読み終わったらやろうか?
息子:うん、いいよ。(部屋を出て行く)
なんかこうして書くと、私も息子が考え始めるまでもっとねばらないといけないと思うし、私が解決案を出さないで「第3法」に持っていけば良かったなぁなどと思います。 でもその後息子は「お母さんバレーボールやろう。今は本を読んでないからいいよね?」などと、タイミングを計ってくれるようになりました。 いつも私はこういう場面でただ「イヤ!」とつっぱねるのも嫌だし、結局しつこい息子に根負けしてしまって嫌な思いを自分の中に溜め込んでしまっていたのです。 そうなる前に、親は自分の気持ちを率直に言えばいいんですね。 それが分かっただけでも、育児のストレスが減りそうな気がしました。
今までいろいろな本を読んで、書かれていることはすごく分かるんだけど、「じゃあどうすれば?」というような疑問が残ったり、日々子供と接する中で「こういう場合はどうしたらいいの?」みたいな疑問が解決されないまま残っていました。 たぶん、自分の親と同じように「~しなさい」と上から物を言うのが嫌だという気持ちが自分の中にあって、でもそうしなければどうしたらいいのか?というのがずっと分からなかったのだと思います。 でもこの本を読んでいて、そういう疑問が次々とクリアになっていく感じがしたのです。
また他の本で感じるのは模範的な会話例ばかり載っていて、うまく行かない場合について何も書かれていないということです。 その点「親業」では、うまく行かない場合も多々あるということがはっきり書かれているし、うまく行かない場合どうしたら良いか、うまく行かない場合の原因、親が陥りやすい間違いについても書かれているので、同じ間違いをしないよう自分で気をつけることも出来るし、うまく行かなかった時どうしたら良かったのか、自分で分析することも出来るのではないかと思います。
koko-rinさんの情報で親業訓練協会というのの存在を知ったのでそちらにも行ってみようかと思っています。
- トマス ゴードン, Thomas Gordon, 近藤 千恵
- 親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方