- 孤高の人〈上〉 (新潮文庫)/新潮社
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昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。
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いかなる場合でも脱出路を計算に入れた周到な計画のもとに単独行動する文太郎が初めてパーティを組んだのは昭和11年の厳冬であった。家庭をもって山行きをやめようとしていた彼は友人の願いを入れるが、無謀な計画にひきずられ、吹雪の北鎌尾根に消息を断つ。日本登山界に不滅の足跡を遺した文太郎の生涯を通じ“なぜ山に登るのか”の問いに鋭く迫った山岳小説屈指の力作である
★★★☆☆
レビュー
実在の人物を元に描かれる山岳小説。
登山系のメディアでは今でもよく取り上げられる作品で、一度読んでみようかと思った。
僕も山は大抵独りで登っているから共感する感情もあれば、もう少し融通を利かせても。と思う事も。
あまりに超人的であり、時代背景も今とは異なるというのも今ひとつ入り込めない要因かもしれない。
ただ、単独だからこその思いや、パーティを組む事の難しさはひしひしと伝わってくる。
僕が思ったのは、外山技師(上司)が居たからこそ救われていたんじゃないかって事。
いくら単独行であっても、いくら超人的であっても、それを理解し、フォローしてくれる存在が有ってこそ能力を遺憾なく発揮出来たんじゃないかと。
余談
山登りでパーティを組む事の難しさは想像出来る。
ハイキングや、絶対に遭難しない程度の山ならまだしも、有る程度のレベルになると心底信頼出来るパートナーじゃなければ同行する気にならない。
困った状況になった時というのは、ただでさえ自分も一杯一杯なんだから、そこで意思の疎通が図れないというのはもう負担でしかない。
でも、それは何も山登りに限った話じゃないんだよね。
例えば、バイクでツーリング行く時も、僕はやっぱり信頼出来る相手じゃないと苦痛でしかなかった。
みんなで連なって走るのは、我慢する事でしかなかった。
奇跡的な例外も有るけど、バイクツーリングなんて全然自由じゃない。
バンドだってそう。
一緒に練習し、演奏するのに、趣味も考え方もバラバラではまとまった演奏なんか出来やしない。
ただ、バイクもバンドも、何らかのトラブルが生じても死ぬ事は無いし、最悪の場合その場で解散してしまっても問題は無いというだけ(バイクは死ぬけど、それは個人の問題)。
何をやるにしても、寄り集まってもまとまって統率が取れるというのはとても幸せで幸運な事じゃないかと思う。
それは個人的な性格の問題だからではなくて、だっていくら人付き合いが上手くても容易く流されては困るし、かといって頑なに意見を曲げないのも困るし、つまりそういう事を意識しなくてもちゃんと皆が同じ方向を向いていられるというのはとても幸せなんじゃないかって思うんだよね。
