金曜日、仕事が終わってから修理に出掛けた。
会社と取引の有る業者の機械の修理。
あまりおおっぴらに言えた事じゃないけど、一応今は謝礼はもらっていないからヨシとしておくとして。
それは、たまたま頼まれた修理だった。
油圧シリンダーのパッキンの劣化による油漏れ。
良くあるトラブルで大抵はパッキンを交換すれば直るから、修理業者とか機械メーカーに修理を頼んだら?って言ったら、ハンドメイドに近い良く分からない機械の中古品だからメーカーに依頼できないという事と、取引の有る修理業者は乗り気じゃないらしい事を告げられた。
修理を頼めるアテが無いから、僕に何とかならないかって相談に来たんだ。
それは最もな判断だと思う。
僕が修理業者で、仕事として頼まれたら同じ様に渋ると思う。
油圧シリンダーはとても大きな力が掛かるから、ネジ部分や結合部分がかじってしまって分解出来ない事も珍しくない。
シリンダーもとても古い物で、メーカーに問い合わせても詳細が分からなくて、パッキンも「恐らくコレじゃないかな?」っていう曖昧な状況。
仕事として報酬を得るには、「やっぱりダメでした」とか、「壊れちゃいました」とか言う事は出来ないから。
以前ウチの会社の機械で同様の修理の見積もりを頼んだら、今回のシリンダーよりも遥かに小さい物なのに、2日の工期と法外な費用を提示された。
仕事として依頼を受けるなら、それ位の余裕を見ておくべきなんだよ。
だからって僕に頼まれても困るんだけど。
僕も本当は乗り気じゃなかったんだ。
「これは出来る」っていう確信も無いまま作業に掛かって、もしハマってしまったらどうしようもない。
いくらでも時間が有って、修理に必要な道具や設備が整っていれば何とでもなるけど、出掛けて行って直すんだからそういう訳にもいかない。
そんな運任せな作業、お金貰ってもやりたいとは思わないよ。
でも、今更断れない。
「なんだ、出来ないの?」って思われるのは、そういう仕事をしている立場上プライドが許さない。
かといって、「やっぱりダメでした」なんて事も言えない。
詳細を説明して、「やるだけやってみる、という事で良いのなら引き受けます」って言った。
何だか逃げ道を作る様だけど、そうでもしないととても出来ない。
結局、作業はとても順調に進んだ。
僕の心配はムダだったけど、それは「こんなにラッキーな事も珍しい」っていう位にたまたま運が良かっただけ。
それでも、休憩もせず、手も抜かず、順調にいって3時間くらい掛かった。
やったことが無い人なら、簡単に思うかもしれない。
なんでそんなに時間が掛かるの?
なんでそんなにお金が掛かるの?って思うかもしれない。
今回はたまたまラッキーだっただけで、本当はもっともの凄く大変な作業だったって事、誰も分からないと思う。
それなのに引き受けてしまうなんて、ほんとに損な性分だと思う。
もの凄く閉鎖的な工場の中で、周りからちやほやされて、オレは出来るんだって思っていれば気分は良い。
逃げるのは簡単。
だけど、外の世界も見てみたいって思うんだよ。
他の会社はどうなんだ?
設備は、それを維持する人の質とかレベルは?
僕はどうなんだ?って。
そういう事を知る為の1つの足がかりになるかもしれないって思っただけ。
ほんとに損な性分。