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会社員を辞めてお店を開業したのだが、

今思うと元の会社は本当に優しかった。


入社2年目に自ら別会社へ出向したいと手を上げ、

出向先の東京に引っ越した。

挑戦するぞと意気揚々に乗り込んだわけだが、

それはもう想像を超えた仕事量だった。


23時、24時まで残るのは当たり前。

量を効率よくこなすことは苦手だったので、

ぼくのせいでもあったんだろうけど。


慣れというのは怖いもので、

遅くまで残ることには適応できていった。

でもこれだけは結局適応できなかった。


上司からの圧だ。

売上目標が高すぎて、

どうにもこうにも達成できない。

週次のバイヤーミーティングが、

もう苦痛で苦痛で仕方なかった。


元の会社に戻して欲しいと言いたかったけど、

自分から言い出して出向した手前、

そんなこと言える訳がないと思って踏ん張った。


でも過労で病気になったら、

戻してくれるんじゃないかと思い、

体よ壊れてくれと願い続けた。


でも意外と体は丈夫なもので、

どうしても壊れてくれなかった。(お母さんありがとう)


そして社長が交代になり、社長の圧がさらに加わった。

もう無理だ、ついていけないと思い、

ついに元の会社にSOSを出した。

「自分から言い出した手前申し訳ないですが、

病んでしまったので戻してください亅


人事に相談してみると連絡があって、

後任を探してくれることになった。

安心したとともに、早く決まってくれと、

焦る気持ちがつのっていった。


そしてある日事件が起きた。



仕事が終わって駅に向かい、地下鉄のホームに出た。

遠くに線路が見えた瞬間、

吸い込まれるように体が動いた。

それはぼくの意思ではなく、

脳の反射に近かったのだと思う。

とっさに状況が怖くなり、急いで駅から逃げ出した。
(どうやって帰ったんだよ)


もし戻せないよと言われていたら、

そのまま線路へ走っていたのかもしれない。


人に追い込まれることもあれば、

人に救われることもある。

人ってなんなんだろうね?


会社員時代と比べ収入は大幅に減ったけど、
(かなしみ)

のんびり過ごす時間に、お金が使えればそれでいいんだ。

この時間が心の栄養になって、

また明日からがんばれる。


あなたの心の栄養はなんですか?