わたしの父と母は、私が世界で一番大切にしている息子を、わたしと同じように愛してくれる。
母は息子が好きなトミカを月一で買い与えているくらいには甘々の息子ファーストで、
お世話好きの父に至っては、食事の面倒やお風呂はもちろん、わたしが見れない時には快く遊びに連れ出してくれる。
息子もそんなじいじとばあばのことが大好きだし、なんならわたしよりじいじとばあばの方が良い時もある。
昨夜、突然じいじが息子を外に連れ出した。
何をしているのかと思ったら、月を眺めている二人。
保育園のお迎えに行くと、息子が夕空に白く浮かぶ月を見て『おっ!おっ!』と指を指していたから、
『夜になったらまたお月様を見ようと約束をした』のだそう。
すっかり月を気に入った息子は、部屋に戻ってきても窓辺で月を見たがり、
部屋の明かりを消し、再び月を眺める二人の後ろ姿は、なんとも微笑ましく、優しい時間が流れていた。
わたしはその姿を見て心底『これで良かった』と思った。
元夫は息子に月を見せるため、夜の空気に触れただろうか。
元夫は部屋の片隅で、息子に月について語りかけただろうか。
…きっと、しなかっただろう。
一緒に暮らしていても、どれだけそばで語りかけ、触れ合えただろう。
かけがえのない時間を、ともに過ごせただろう。
息子はきっと、いつかじいじと夜空に浮かぶ月を眺めたことを忘れてしまうだろうけど、
じいじと過ごす中で受け取った優しさや愛情は、ずっと刻まれていくだろう。
父親と暮らしていくことと、じじばばと暮らしていくこと。どっちが幸せかなんて、もう分かりきっている。
父親がいなくたって、息子はきっと大丈夫。
そう思えるくらいには、自信を持って息子を育てられている。