大和魂
東日本大震災で被害に遭われた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
行方不明者の一人でも多くの救出と、被災者の方々の一日でも早い復興を心よりお祈りいたします。
本日は、震災の被害に遭ってから初めての宅飲みである。
被災地の方々のことを考えると、なかなか一人で酒を飲む気分にならなかったが、本日のチャリティーサッカーを観て、元気を伝えることの意味を知った。
いつも通りのことしかできないが、私らしく一本のウィスキーを紹介することで私の思いを伝えようと思う。
No.27 宮城峡1988 20y(OB)
今回の被災地の一つでもある宮城県仙台市にニッカウヰスキーの祖「竹鶴 政孝」が1969年に創業。
ブレンデッドウィスキーを造る際、現存の余市蒸留所とは個性の異なるモルトを必要としたため、良質な水の流れるこの地が竹鶴によって選ばれた。
アイラ、若しくはハイランド沿岸部のモルトの様な、潮の香りが力強い「余市」に対し、剛より柔、しなやかで麦の香りの豊かで穏やかなスペイサイドモルトの様な個性を「宮城峡」は楽しませてくれる。
実はこちらのヴィンテージシングルモルトには「わ」という一つのテーマがある。
販売当時、余市1987が世界一のシングルモルトとして認められたことによる「大和」(つまり日本)を意味する「倭」。
同時に、北京オリンピックの開催を祝しての五輪の「輪」。
さらに、オリンピックにかけて5種類の原酒を調和したことでの「和」ということである。
それぞれの個性の持ったシングルカスクが、ブレンダーの手によって「和」となり素晴らしいシングルモルトへ生まれ変わる。
つまり・・・
香りはエステリーと呼ばれる系統。カシス、洋ナシタルト、木香。
非常に滑らかに舌に入り、口内は香りのオーケストラといったところか・・・。
ミズナラ、シェリーの樽香もしっかりと感じ、レーズン、和三盆糖がベースとなり、少しハーブを感じ苦味が残るが、1滴加水しただけで苦味は消え、また新しい世界が広がる。
恐るべき久光チーフブレンダーの技である。
もともと思いやりの心を持っている日本人。
もともと世界に誇れる技術を持っている日本人。
失ったものはあまりに大きいけれど、より良い日本となって生まれ変わることを信じて・・・。
「大」きな「和」で。