羅生門を読む

 

ネタバレになりますので、未読の方はお読みにならない方が良いかも知れません。

 

【人物】

 

下人、老婆、女の死体

 

【場面】

 

■羅生門の周辺

■下人の周辺と心情

■下人が羅生門の上に

■下人が老婆を取り押さえる

■老婆の言い訳

■下人が追剥ぎする

 

【行動の理由】

 

1.旧記(P1、P2)とは?

⇒方丈記、今昔物語集

 

2.山吹の汗衫(かざみ)、紺の襖(あお)(P2)とは?

⇒山吹色(黄金色)の下着。縫い合わせていない日常の衣服を襖と言い、色によって位が設定。冠位十二階によると、紺(濃い青)は大仁で三番手。紫がトップ。

 

3.聖柄の太刀(P2)をなぜ下人は持っているのか?

⇒柄がない安物の太刀。強盗する際、あるいは護身用。売って金になるほどの価値はない。盗んだものではなさそう。

 

4.腐乱した臭気(P2)とあるが、どれほど最近の死体があるのか?

⇒伝染病が流行している、また、飢饉の状況や経済不況が重なったと考えると、都でさえ荒廃しているのだから、毎日のように死者が放置されているはず。よって、腐臭はすさまじいのではないか。

 

5.檜皮色(ひわだいろ)の着物(P2)とは?

⇒安価な色。

 

6.あらゆる悪に対する反感(P2)がどうして湧いたのか?

⇒老婆の髪すら盗むという行為に対して、世の中の荒廃の極みを感じ、直感的に社会の全ての悪がこれを引き起していると捉えたから。

あるいは世の中にはびこる悪に自分が巻き込まれてしまうことの恐れを感じ、心情的に最後の抵抗を試みた可能性がある。

 

7.髪の毛を抜く(P2)ことが、どうして下人にとって許すべからざる悪なのか?

⇒最下層(死人)の物をすら盗む悪だから。

 

8.とうに忘れていた(P3)とあるが、下人はなぜそんなにすぐ忘れてしまったのか?

⇒現実に引き込まれやすい下人の性格から。

 

9.老婆はなぜ慌てふためいて逃げたのか?(P3)

⇒下人の態度・表情から老婆は自分に対する憎悪を感じたから。

 

10.あのように老婆が執ねく黙っているのはどうしてか?(P3)

⇒「何をしていた」と問われ、下人の質問の真意がわからなかったから。

 

11.下人はどうして意識したのか?(P3)

⇒現実に引き込まれやすい性格だから。

 

12.老婆は何歳なのか?

⇒不明

 

13.己に話さえすればいい(P3)と下人が言っているがどういうことか?

⇒正義というよりも、老婆という一介の悪を降参させたという仕事を終えることで憎悪が消えたため、次は老婆の行いの理由を聞き出すことが仕事になった。

 

14.老婆は鋭い目で見たが(P3)、どうしてか?

⇒役人によって裁かれるわけではないと知った老婆は、下人と対等な関係になりやや強気に出れると感じたから。

 

15.「この髪を抜いてな」(P3)と二回言ったのはどうしてか?

⇒自分の行為(髪を抜く)を強調したかったから。

 

16.平凡なのに失望した(P3)とあるが、下人は何を期待していたのか?

⇒髪を抜いてカツラにするということが当たり前すぎたから。もっと、「おお!そんな方法で稼ぐのか」というものを期待していた。

 

17.太刀帯の陣(たちはきのじん)とは?(P3)

⇒東宮坊の帯刀の舎人の詰め所。皇太子の事務を管理する役所。

 

18.疫病(えやみ)とは何か?(P3)

⇒天然痘、インフルエンザ

 

19.仕方なくした(P3)と老婆は言っているが、本当か?

⇒蛇を魚だと言って売る行為そのものというよりは、餓死しないためには自分が今できることをしているに過ぎないという意味であり、それは善悪を超越することだということ。

 

20.大目に見てくれると老婆が思った理由は何か?(P3)

⇒生命の維持は社会的正義を越えるものという老婆の思想があるから。死んだ女も同じ思想を持つはずと老婆は考えた。

 

21.恨むまいな(P4)と下人は言ったが、どうしてそんな台詞を言ったのか?

⇒老婆の思想を現実と下人が捉え、行動に移すきっかけとして、あるいは最終確認として、言葉にする必要性があった。

 

22.門の下を老婆が覗き込んだのはどうしてか?

⇒老婆の着物自体は一銭にもならないはず。それを取っていった下人の真意がわからなかったから、不思議に思い、思わず下人の行方を知りたがったから。