どうしてもこれは書き留めておきたいと、滞りがちのブログを早々更新させて頂きました。

数年前に演劇集団円の芝居に接してから、この劇団の演目が常に興味深いこともあり、最近東京芸術劇場で公演を終えた『フォースタス』も観劇したのですが、想像以上に古典作品の概念を超えた芝居が繰り広げられておりまして…

賛否両論あってしかり、あえて大胆なコンセプトで舞台にかけた勇気は素晴らしいものがあるというのが率直な感想でした。

しかし私は今回の舞台を観て、改めて自分が携わるオペラの世界のことに思いをはせたのです。

『フォースタス』は古典を大胆に脚本演出換えしても、ある観客層に受け入れられるということは、結局【日本語】で芝居をしているからダイレクトに観客の心に浸透していく…

けれどオペラ上演は基本原語主義…そもそもオペラの筋が一般層に理解が得られない所からはじまり、なおかつ楽譜を無視した演出が繰り広げられれば…観客は言葉はおろか、「話もわからず難解だった、もうオペラなんか行きたくない!!」という感想で終わりかねないだろう…

どんなに歌手が技巧的な歌を聞かせていても、先の理由から観客の心に響かず努力が水の泡となる…それはこの世界に携わる者としては非常に悔しい結果ではないか!!!!

もちろん日本にも日本のオペラがある。

だけど団伊玖磨作曲の【夕鶴】を平成の日本に置き換え、スマートフォンで京の都での布の品相場についてコンタクトを取り合う運ずや惣どを観て観客はどう反応するだろう…

しかしそれ以前にオペラとは、歌ありきではないだろうか…奇抜な演出がかえって歌の魅力を半減させかねないとも私は感じるのだ…

とはいえ大胆な演出も舞台表現の一つの形だし、賛否両論を巻き起こすものが作られることにも芸術を発展させる上では必要だということもあろうが。

日本のオペラ界はオペラが人々に浸透していってからの歴史がまだ浅いだけに、どんどん新しいことを追求し続けてしまうと…このままいけば【型なし】になってしまうこともありえるかも…

それだけは避けたい…せめてオペラの世界は、もっと堅実な道を進んでもらいたいと…そう観劇を通して痛感させられたのでした。

あぁ…今の自分は微力ながらも声楽においては王道を極めていこう!!

いずれにしても演劇集団円の皆様…刺激的な舞台を有難うございました。これからの公演にも私は期待を寄せております。