更新が遅くなってしまい本当にごめんなさい…。改めまして先日私が参加したピアニスト高橋舞さんによるレクチャーコンサート「MAI クラッシックセミナー」が無事終了致しましたことをご報告致します。

このレクチャーは昨年6月開始を皮切りとして、今回で7回目を迎えたそうで、記念すべき「ラッキーセブンの回!」にお招き頂き、演奏させて頂けた事をとても嬉しく感じております。

改めて高橋舞さん、関係者の皆様、そして何よりもレクチャーに足をお運び下さった受講生の皆様に、この場を借りて感謝致します!!本当に本当にどうも有り難うございました!

音楽学生から職業演奏家としての道を進んでいくと、「大衆のニーズに答える」という点を踏まえて幅広いジャンルを歌わねばならず、実質上、腰を落ち着けて作品と向き合う時間を沢山持つことが難しいものです。

だらかこそ、その限られた時間の中でどれだけもがくことができるか?それによって音楽の完成度が全く変わってしまう…。今回私が携わった「芸術歌曲演奏」はその最たる分野だからこそ、言葉、音楽、それぞれに緻密な練習が必要になってくるのです…。

高橋舞さんとの練習は日々刺激的な時間でありました。ただ、作曲家の譜面に書かれてあることを重点として演奏することの大切さを説く高橋さんの音楽観に対して、歌詞のエッセンスから感情を引き出すことに主軸を置いていた私はどうしても納得できないことも有ったことは確かで…。

特に有名なピアノ作品、「愛の夢」へと発展したリスト作曲の歌曲「おお愛せよ、お前が愛しうる限り」S298に関しては、譜面上散々ピアノパートが盛り上がって書かれているのにも拘らず、歌唱旋律はひたすら小さく歌え!と指示されていたことが、私はどうしても納得できず…。

でも納得出来ないと感じた時こそ、兎に角実践してみなければ答えは導かれないもの。
高橋さんの「とりあえず譜面通り歌ってみて!」という言葉通り、本当はもっと強く訴えたいところを我慢し続けて歌うと…不思議な事に、あらゆることがしっかり繋がり、素晴らしい音楽となるのでした。

「愛の夢」は情熱的な音楽として定着しているかもしれませんが、歌曲の方の歌詞は、もっと内省的なもの…。だからこそ、リストは自分の伴奏を主張したいという理由のみならず、歌に対して抑制した表現を求めていたのかもしれません…。

つまりこの歌の歌詞、要約してしまうと報われぬ愛の歌、「失恋の歌」なのです…(苦笑)歌詞に「愛」という言葉が入っているからと、結婚式でこの曲を選曲される方もいるようですが…実際の歌詞では、「彼は去ってしまった」と仰っているのです…(汗)とはいっても今回私が歌った歌詞以外にもリストは同じメロディーに別のパターンの歌詞で曲をつけております。その内の一つは「愛の教訓」たる内容になっているようですね。ご興味ある方は是非お調べ頂ければと思います。

オペラのように華美なセットや衣装も無く、目に見えぬものをピアノと歌だけで表現する歌曲。
それは演劇の世界で言えば、一人の演出家と一人の俳優で築き上げる一人芝居の舞台のようなもの。簡素だからこそ奥深い、それが歌曲。今回ここで歌わせて頂いた作品は何れも素晴らしい作品ですから、また別の機会に歌うことが出来ればと切望しております。

その為には某新劇の劇団が掲げているモットー「日々是精進」しなければ!次に歌わせて頂く時は更に奥深いものが出来るよう、頑張ります。

という訳で、終演後ピアニスト高橋舞さんと一緒に撮影した写真をどうぞ!



それからこれは終演後一人楽屋で故・青江三奈さんを気取って撮影。



それでは、また!