大変ご無沙汰致しております・・。暫らくこのブログを留守しておりましたが・・。皆様お元気でいらっしゃいますか???もう秋ですね・・・。私の方は御陰様で歌に仕事に頑張ってますよ!!!!さてさて、久しぶりのブログは私の愛読書について書きますね。
 
私は大学生時代から、ユダヤ人の歴史や音楽についてとても興味が有りまして・・。大学院修士課程での修士論文は、レナード・バーンスタインの歌曲について書いたのですが、論文作成当初は、導入部をバーンスタインのルーツでもあるユダヤ人の歴史から書こう!!なんて壮大な計画を立てていたのです。それでもって、論文作成途中報告を声楽仲間の前で発表した際に、そんな箇所から書いたら絶対卒業出来ん!!!と一蹴りされまして・・・。で、結局その計画はお流れになった訳ですが、卒業後もユダヤ人達が生み出した音楽や歴史、文化への興味は尽きませんでした。
 
奇しくも私の大好きな芸術家は、声楽家以外殆どユダヤの血を引いた人達ばかりで・・・。作曲家グスタフ・マーラー、レナード・バーンスタイン、スティーヴン・ソンドハイム、マーヴィン・ハムリッシュ、ミシェル・ルグラン、歌手・俳優セルジュ・ゲーンスブール、喜劇役者ダニー・ケイ、そして、世界のエンターテイナー、バーブラ・ストライサンド…と…。とりわけ私に多大なインスピレーションを与えて下さったのが、バーブラ・ストライサンドでした。彼女の歌声は、自分自身が行き詰まった時に 聴くと、立ち直る勇気が沸いてくるのです。そんな彼女の出演映画作品の中の一作が「愛のイエントル」でした。この作品への映画化には彼女の特別の思いが込められていたようで、彼女は主人公を演じるばかりか、製作、監督、脚本、歌唱の全てをこなしてしまう程の入れ込みようでした。彼女がそこまで映画化したいという気持ちへと駆り立てた原作とはどういうものなのか??それを知りたいと思ったことが切欠で、手に取った本こそ、この映画の原作本、ノーベル賞作家アイザック・B・シンガーの「YENTL THE YESHIVA BOY」でした。
∮Singing is My Life∮Satoyo Onishi Official Web Site物語の舞台は今を去る百年前のポーランド。ユダヤ人達が厳しい伝統を重んじつつ小さな村で暮らしていた頃。イエントルは村のどんな娘とも違って女の嗜み類はまるでダメ。そんな彼女が興味を持つ事こそ男の仕事、そして当時女性には禁じられた分野、学問であった。彼女の学びたい欲求は益々募り、遂に彼女は決心する。アンシェルと名乗って男になりすまし、神学校で学ぶ事を・・。

う~ん!!如何にもバーブラ・ストライザンドが好みそうな展開!!因みにバーブラの『愛のイエントル』ではミシェル・ルグランの美しいメロディーと共に、神学校で勉強できるアンシェルの喜びをこんな風に映像で描写していました。

ただし、アンシェルを男装しているが故の苦しみがこの後の展開で押し寄せてきます。ひょんな事から、アンシェルはハダスという女性と結婚してしまうのです・・。ハダスの愛情とやさしさはアンシェルの身に染みます。がしかし、自分は本当は女であることを告白する事で、彼女を傷つけはしまいかと
悩むのです・・・。バーブラの映画ではこんな風でした・・。

この先の展開はもう皆様の想像がつく事と存じます。改めてアイザック・B・シンガーの原作本とバーブラの映画を比較して思うことは、主人公イエントルの描き方が、原作の方がもっとポジティブ感に溢れているというか、若しかしたら翻訳の影響も有るかもしれないけれど・・・。一方バーブラの映画は、主人公イエントルの感情的に原作以上の叙情性を持たせている感じがするんですよね。一つの作品が他のアーティストの手が加わることによって様々な解釈や趣向に変化して行く事は、とても芸術的で面白いですよね!!でもこの作品の一貫して主張しているテーマは、自分自身の信念を貫く事の大切さだと思います。そういえば先日アップル社のスティーブ・ジョブズが惜しくも亡くなりましたが、彼も生前多くの人々に送り続けたメッセージは、周りの人々思いに振り回されず、己の心の声を大切に生きていけと説いていましたっけ・・。御興味の有る方は、是非、アイザック・B・シンガーの原作本と共に、バーブラの映画も観てみて下さい!!!最後に、バーブラの映画「愛のイエントル」の中で歌われる、私の最も大好きなナンバーA Peace of Skyをどうぞ!!!!