ナッシング・ライムド | 歌う言葉

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懐かしの洋楽を日本語で歌ってみたい!

1970年リリースのギルバート・オサリヴァンのシングル曲で翌年リリースのアルバム「ヒムセルフ(ギルバート・オサリヴァンの肖像)」に収録されました

この曲のヒットからシンガー・ソングライターとしてのギリバート・オサリヴァンの快進撃が始まり多くのヒット曲が生まれて行きます 彼の類まれなコンポーザーとしての才能はポールをして「後継者の一人」と言わせしめビリー・ジョエルも自らのヒーローの一人として名をあげています

この曲を発表した当時の彼の格好はジャケットやこの曲のPVにあるように1930年頃の服装でノスタルジックなイメージを醸し出しています 途中でこの格好は止めて現代的な好青年といった出で立ちになりますが初めてこのジャケ写を見た時にちょっとゾワゾワした気持ちになったことを思い出します(日本でも大正時代あたりの白黒写真ってちょっと怖い感じがしませんか?なにか古いような新しいような 知ってるようで知らない世界のような変な感覚に囚われます)

この曲は彼がテレビに映ったアフリカの飢餓の人々の映像を見たことが発端になって書かれたそうです 同じ時代に生きながら別の場所では想像もつかない状況にある人々がいるという現実を見て衝撃を受けたようです(実際に歌詞の中にその情景が歌われています) 確かに当時ビアフラでの悲惨な写真が報道されていた記憶があります ジョージがバングラディッシュの救済コンサートを行ったのは翌年ですし同様な流れで1984年にはエチオピアでの飢餓に対してバンド・エイドがチャリティーの曲をリリースして翌年のライブエイド・コンサートへと発展していきました

歌詞はそのように矛盾だらけの現実をどう受け止めたらよいのか悩む青年の姿が描かれています タイトルの「ナッシング・ライムド」は”韻律を踏んでいない”という意味でこの世界にある物は全て綺麗に律せられてなんかいないといった意味合いでしょうか歌詞の最後に主人公の結論のように置かれています 確かに物事には表と裏があって全く違った顔を見せているのが世の常です 人間の認識能力はそこまで複雑には出来ていないようで何か綺麗ごとの表側しか無い様な体裁にしておかないと安心して過ごせないような感じです そういう状況に主人公は少し違和感を覚えているようですね ちょっと「裸の王様」の話を思い出します

曲は3拍子で淡々とメロディーが話を進めていく感じですがサビの部分の"Nothing"で始まる具体例を積み重ねて行って最後にタイトルの「ナッシング・ライムド」で完結させる部分のジワジワと盛り上げる感じは本当に巧みだと思います 多分ロックだとこの辺りはシャウトの部分だと思いますが声を荒げるでもなく聴く人の心に訴えかけていくスタイルは本当に彼らしいと思います

今月コロナの影響で2回延期された彼の久しぶりのコンサートがありました 流石に前半と後半の間に20分の休憩を取るのには年齢を感じてしまいましたが元気な姿を見せてくれました(ちょっとブライアン・メイっぽい風貌になっていました) 途中「ホエア・ピースフル・ウォーターズ・フロウ」で観客にタイトル部をシング・アロングするよう促しましたがちょっと長めのフレーズで上手くいかずにいたところ”今日は皆マスクしてるからね”とかさりげない優しさをみせていました その後の普通なら観客に歌わせる「アローン・アゲイン」のタイトル部分も自分で歌ってくれました

毎日ウクライナの戦況がテレビで伝えられコメンテーターが訳知り顔で物言うことに鬱々とする日が続いています 結局世界はずっと壊れたままだったんだな… 優しいギルバートのそんな声がずっと心に響いていた夜でした

 

↓以前日本だけで発売になったレザーディスクの映像がありました(この曲は7:00頃から始まります)

 

 

 

 

 

もしお年寄りに席を

僕が譲れば

いい子だよと

自慢の子と

ママはそう言うかな

 

お勤めの時僕が

過ちを起こせば

二度と間違わないように

酷く叱るのかな

 

打ち消せない心は言う

全て裏腹

負けるが勝ちもあるはずと

 

ブランデーを飲みながら

パイも食べ放題

ニュースに映る飢餓の人に

目は止まるかな

 

今も昔も野望も

損も得もないのさ

見えるままさ 若さの故さ

時間は永遠に ワインは甘く

見えなくなることもない

言えぬことも

今日の枷も

何も

 

打ち消せない心は言う

全て裏腹

負けるが勝ちもあるはずと

 

善も悪も野望も

損も得もないのさ

見えるままさ 若さの故さ

時間は永遠に ワインは甘く

見えなくなることもない

言えぬことも

今日の枷も

何も

 

 

 

 

原詩のリンク: 

https://www.azlyrics.com/lyrics/gilbertosullivan/nothingrhymed.html