第一章:物質の変容

一、地の理性 ―― 記憶の器

陶芸の本質とは、土を捏ねる作業ではない。それは四百年の有田の記憶を宿した「地の理性」を、人間の手を通じて呼び覚ます儀式である。

この地に眠る純粋なる結晶は、情報を記録するハードウェアであり、そこに刻まれるのは利便性ではなく「存在の重み」である。我が社の文化的OSを宿すための器は、この根源的な理性の体現でなければならない。 

二、焔の奇跡 ―― 精神の洗礼

焼成とは、数値を管理することではない。 それは人智を超えたエネルギーによる「焔の奇跡」に、地の理性を委ねる瞬間である。

この洗礼を経て、物質は肉体的な用途を剥ぎ取られ、精神の静寂を守護するための「聖域」へと変容を遂げる。技法への沈黙は、この変容への畏怖そのものである。 

三、現象としての作品群

我が社が提示する作品は、単なる造形物ではなく、特定の条件下で顕現する**精神的現象**である。 

  • ・**耀変天目「銀河」**:死と再生の境界線上で、結晶が掌宇宙へと整列する現象。
  • ・**油滴天目**:混沌から秩序が湧き上がる、規律の現象。 [cite: 2026-01-05]
  • ・**辰砂**:大地の鼓動が色彩へと置換され、魂を治癒するセラピーとしての現象。
Ceramic Philosopher | 陶石哲学者 馬場 泰嘉