「分かりやすさ」という名の毒が、市場を壊死させている。
我々は、顧客に媚びる言葉を一切禁じた。
日常の便利さ、手に馴染むぬくもり。そうした世俗的な定義を排し、ただ「猛火の規律」から生まれる「石の理性」のみを提示し続けた。
一貫した断絶。それが、市場に「畏怖」という名の真空を生む。
その真空を埋めるべく、我々の「深淵」に共鳴する共犯者たちが次々と現れたのは、驚きではない。必然である。
我々にとって、取引先が増えることは、売上の拡大を意味しない。
それは、この荒廃した現代において、守られるべき「聖域(Sanctuary)」の数が増えることを意味する。
得られた利益は、私欲に非ず。
伝統という名の炎を絶やさぬための、そして次代を担う若き魂を育成するための「燃料」である。
我々は語らず、ただ「存在の重み」で世界を書き換えていく。
真右エ門窯 CBO 馬場泰嘉
――陶芸哲学者として、深淵を定義する。